研究課題/領域番号 |
16K00281
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
伊東 敏夫 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (70707695)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自動運転 / HMI |
研究実績の概要 |
本研究はドライバの無意識下の脳活動と注意力との関連を解明し、注意力が低下しない方法を開発することから、研究全体を①自動運転時のドライバの脳活動と注意力相関の解析システムの研究開発、②脳活動と注意力相関の解析と注意力低下防止方法の検討、③検討手法の評価と提案の3フェーズに分け、それぞれを一カ年度の三年度計画で行う。初年度の平成28年度は①の解析システムの開発を目的として、ドライビングシミュレータと、自動走行が模擬体験できる実験車におけるドライバの脳活動と注意力変化のデータが収集可能となるシステムを製作した。 自動運転を体験することができるドライビングシミュレータの製作では、シミュレータ使用時の没入感を高めかつ自動運転走行のリアリティを持たせるため揺動装置付きのシステムを開発した。特にシミュレーション映像は、首都高速道路のC1環状線を模擬したものを製作し、実験車での走行と相関を持たせるようにした。模擬自動運転が体験できる実験車では、安全に自動走行を模擬できる手法として、左ハンドルの乗用車の助手席に、模擬のステアリングやペダル、メータ等の表示装置を搭載した。これにより、被験者をあたかも右ハンドル乗用車の運転席にいるような感覚を持ち、左ハンドルで運転手が運転していることを被験者は理解しながらも、目前のステアリングが自動転舵することを見ることにより、自動運転車に乗っているような状況になるものと思われる。そして、脳活動と注意力との相関を解析するシステムとして、脳波で脳活動を計測し同時に被験者のビデオ画像を記録するシステムを構築した。このシステムをドライビングシミュレータ使用時、及び実験車使用時に使用し、今年度から被験者の脳活動と注意力の関連の解析を進めて行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,ドライバの無意識下の脳活動と注意力との関連を解析するとき、シミュレーションと実車の両方での走行実験を実施しそれぞれの結果を比較するため、両者の出来映えは重要である。ドライビングシミュレータと実車の比較を行う環境として首都高速道路の都心環状線C1を採用し、シミュレータ上での再現性も良好である。模擬自動運転実験車も予定通り製作を実施し、試乗した被験者からは自動運転車に乗っているように錯覚するという感想を得ている。 脳波EEGによる注意力評価は覚醒度評価としてのα波とβ波を比較した。実験時の覚醒度評価を行ったところ、明らかに覚醒時と非覚醒時のα波とβ波の比率が異なり、本実験装置の有効性が確認できている。 当初は、近赤外光を用いた脳血流評価も実施する予定だったが、脳波EEGが絶対評価に対し、近赤外光方式が相対評価であることと、提案者が所有している計測器のヘッドモジュールによる被験者の頭部締め付けがきついため、脳波だけを用いることにした。脳波だけでも被験者の覚醒度は明確に評価でき、これに基づく注意力の解析も問題ないと判断したためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は、三年度計画の二年目、三年目の実施となり、それぞれ②脳活動と注意力相関の解析と注意力低下防止方法の検討、③検討手法の評価と提案となる。 平成29年度については、ドライビングシミュレータと模擬実験車での脳活動と注意力変化の測定と自動運転時の脳活動と注意力相関の解析、及び注意力低下防止タスクの検討を行う。データ計測では十分な被験者の属性と人数が必要である。そのため、ドライバの男女年齢等の分類として、男性若年・中年・老年・女性若年・中年・老年の6層に分ける。また、従来のドライバ特性の計測には20名程度の被験者で行うことが一般化しているため、本研究においては各層から偏りのないように選定した20名の被験者で行う。 自動運転時の脳活動と注意力との相関の解析では、脳活動と注意力変化を計測した各種データの相関を解析する。各種データは最新のニューラルネットワークシステム等の統計的機械学習手法を用いてパターン分類し、関連を解析する。注意力低下防止タスクの検討においては、脳活動と注意力との相関の解析結果から、注意力低下防止に効果のある各種タスク(運転に支障のない範囲でのシステムのモニタリング、定期的チェック、指示した作業、システムが自動化した各運転操作への介入、オペレーターとの問答等)や制御方法(注意力に応じ車間距離を変化させる等)を検討する。 平成30年度は、ドライビングシミュレータと模擬実験車による注意力低下防止タスクの効果検証を予定している。 平成29年度に検討した注意力低下防止タスクの効果検証を、ドライビングシミュレータと模擬実験車それぞれ20名の被験者で行い、更にその頃に実験可能な自動運転車で実際の注意力低下防止タスクの効果検証を行う。
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