研究課題/領域番号 |
16K00282
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉川 浩 日本大学, 理工学部, 教授 (20182735)
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研究分担者 |
山口 健 日本大学, 理工学部, 准教授 (90434125)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホログラム / 画質評価 / 構造的類似度 / 回折効率 / 部分漂白ホログラム / 国際標準化 |
研究実績の概要 |
今年度は,前年度の成果である「部分漂白ホログラムの画質評価」について5月にフランスで開催された国際会議にて発表を行った.また,これまでの成果を招待講演として国内2件,海外1件の発表を行った.国内発表の1件は5月に開催された日本光学会ホログラフィックディスプレイ研究会での「ホログラムの画質評価と国際標準化の動向」であり,もう1件は6月の画像電子学会年次大会における特別セッションでの「ホログラフィと符号化」である.非可逆圧縮符号化をホログラムに対して行った場合の画質評価における留意点などを報告した.海外での招待講演は8月に米国サンディエゴで開催されたSPIE(米国光工学会)の応用光学計測において,「Toward international standards on evaluation of holograms (ホログラム画質評価の国際標準化に向けて)」として本研究で得られた知見を国際標準にどう適用すべきかを講演した. これまでの評価は2次元画像が主であったが,今年度は3次元物体から作成した計算機合成ホログラムの画質評価の数値実験を行った.3次元物体を点光源の集合としてホログラムを計算し,ホログラムからの再生像を複数の奥行き面における光強度分布をフレネル変換で求めることで画質評価を行い成果が得られたので今後は外部での発表を行う.光学再生での評価は再生画質の改善が課題であったが,液晶パネルを用いた3次元物体の光学再生での実験光学系の検討より測定の目途が立ったので,詳細な測定を行っていきたい.一方で,ホログラムプリンタにより出力したホログラムの画質評価では,十分な成果が得られなかったので,引き続き検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に行った,漂白を完全に行わないホログラムで再生像の明るさと像の再現性のバランスが改善できるという成果について,5月にフランスで開催された国際会議にて発表を行った.また,これまでの成果をまとめたものを招待講演として国内で2件,国際会議で1件報告した. 3次元画像の評価については,物体を点光源の集合で表してホログラムを計算し,フレネル変換を用いて複数の奥行き面において光強度分布を評価する計算機シミュレーションを行った.ホログラムの干渉縞画像を非可逆的圧縮し,伸張したホログラムからの再生像が元のホログラムからの再生像からどの程度劣化するかの評価を行い,外部発表が可能な成果を得ることができた.3次元物体を記録したホログラムの光学的な再生像の評価については,液晶パネルを用いた予備実験をおこない,評価可能な結果が得られる目途が立った.2次元画像での光学的再生像の評価については,予定していた成果が得られなかった.
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今後の研究の推進方策 |
位相型ホログラムについては,部分漂白ホログラムで良好な結果が得られているので,他の生成方式についても高画質のものがあるかの検討を継続する. 2次元画像の光学再生像の評価については,ホログラムプリンタで出力し液晶の画素構造の影響を取り除く実験で前年度に十分な成果が得られなかったので引き続き行う. 3次元画像の評価については,奥行きを変えた面での評価についての数値シミュレーションおよび光学再生の予備実験の双方で十分な成果が得られる目途が立ったので,詳細な評価実験を行う予定である. 国際標準化の検討については,前年度に引き続きJPEGグループと情報交換を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2次元光学再生像の画質評価において,液晶パネルの画素構造の影響を取り除くためのフリンジプリンタにより出力したホログラムからの再生実験を行う予定であった.このフリンジプリンタは本研究室で開発しているもので,所定の性能を得るためには定期的な調整が必要であり,この調整に予想以上の時間がかかり,予定していた実験を行うことができなかった.このために次年度使用が生じてしまった. より確実にホログラムの出力ができるように,次年度使用により記録光学系の制御系や光学部品等を改善し,安定して十分な実験をおこなえるための費用に充当する予定である.
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