| 研究課題/領域番号 |
16K00283
|
|---|
| 研究機関 | 東京工科大学 |
|---|
研究代表者 |
太田 高志 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (30386768)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | マルチデバイス / インタラクションデザイン / ユーザーインターフェース / ３Dプリンター / モデリングデザイン |
|---|
| 研究実績の概要 |
今年度（H29）は前年度開発したプロトタイプアプリケーションを用いて、複数デバイスを連携するオブジェクト形状のデザインとそれに付随する機能について、学生に対するワークショップを複数回行い、本研究で提案するオブジェクトを用いたデバイスの連携アプローチのためのインタラクションのアイデアを検討した。また、そのワークショップの観察から、ここで提案するデジタル機能のインタラクションを３D形状デザインの教育に利用することへの可能性が確認され、研究テーマの拡張ともに他大学との研究連携へと発展できた。
オブジェクトについては、プロトタイプのU字型のもの以外に、二つからそれ以上のデバイスを連携させる形状のデザインを行った。通電性のマテリアルによる造形は、整形後の強度に問題があり、また造形自体もあまり精細に行うことができなかったため、通常のプラスティック素材を使用しながら通電性の設置部分を組み合わせることで、タッチ認識される仕組みを模索することとした。
デザイン教育に関連しては、造形の具象的なテーマの呈示ではなく、インタラクションを呈示することによって３D形状のアイデアを創らせるアプローチが、学生の創造性を喚起するのに有効であることが実験によって示唆されたことを受けて、これを追求することを美大（女子美術大学）と海外の大学（ベオグラード大学）の研究者との共同研究へと発展させた。既にいくつかのパイロットテストとしてのワークショップを行い、その結果を受けて今後の研究の方向性を作るところである。
一方、複数デバイスの連携に関するインタラクションデザインの拡張については、他のデバイスを画面中に捉えることで、そのデバイスのカメラを利用できるというインターフェースをデザインし、そのプロトタイプを作成しており、そちらのデザインや実装の改良や発展を進めている。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オブジェクトを用いたアプリの開発については、オブジェクトのデザインまでは行ったが、タッチスクリーンで検知するための仕組みに手間取っている分、予定より開発が遅れている。導電性のマテリアルが入手が難しいことに併せて造形上の問題もあったため、アプローチを変更したことも原因である。現在、別のアプローチによって実験を進めている。
本テーマで提案するデバイスとのインタラクションは、３Dオブジェクトを利用することに特徴があるが、その点を利用して、このインタラクションを呈示することによってオブジェクトデザインのアイデア創出を促すことができるのではないかと考え、実験的なワークショップを行いその効果を確認した。このアプローチにおいては海外の大学を含む他大学との共同研究へと発展することができた。
複数デバイス連携を行うインタラクションデザインの拡張については、デジタル機能に特化しながらも直感的であるインタラクションのデザインとして開発しているアプリケーションの、初期のデザインによるプロトタイプによる実験を基に、利用時のシナリオの再確認とそれに伴うインタラクションデザインの見直しを行い、次の開発要件を定義することができた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究プランとして、（１）３Dオブジェクトをインタフェースとするアプリケーションの開発、（２）当インタラクションを利用したデザイン教育への応用、（３）デバイスの連携利用に対する多様なインタラクションの実現、の３つの方向性を考えている。（１）の３Dオブジェクト利用については、オブジェクトの成形とタッチパネルへの接地面の認識手法の確立を行い、認識の精度評価なども行う予定である。（２）についてはパイロットテストとしてのワークショップを実施した結果の分析から、デザイン教育のプログラムやワークショップのデザインを立案し、可能であれば実施してフィードバックを得ることを考えている。また、外部の研究者との共同研究であることから、研究内容について直接議論する場を設けることを考えている。（３）については、今年度までに開発した他のデバイスを画面中に捉えることでそのデバイスのカメラを利用できるというインタフェースについて、インタフェースのデザインの改良とその実装を行う予定である。既に、これまでに開発したもののテストから修正項目を挙げて新たな開発計画を立てることができており、それらの修正を具体的な実装として実現していく予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）３DプリンターやiPadの購入に関しては、新モデルの発表を待って、最新機種を開発環境としたいと考えたため、次年度以降に購入計画を延期したものである。また、開発に関した人件費は、納入時期がずれたために、次年度にずれることになった。
（使用計画）3Dプリンターと開発用のPCなどの機材について60万円程の購入を予定する。開発費は、昨年発注したものと合わせて60万程を予定する。残りは、海外大学（ベオグラード大学）との共同研究のための訪問、学会参加のための参加費、渡航費と、論文の掲載料に使用する予定である。
|
