研究課題/領域番号 |
16K00283
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
太田 高志 東京工科大学, メディア学部, 教授 (30386768)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マルチデバイス / インタラクションデザイン / モバイルデバイス / タッチパネル / ユーザーインターフェース / タンジブルインタラクション |
研究実績の概要 |
本研究は物理的なインターフェースによりモバイルデバイスを利用するインタラクションの開発を行うことを目的としたものである。当初は複数のモバイルデバイスの連携利用方法とインターフェースのデザインを提案するものであり、また3次元的なオブジェクトの利用を念頭においていたが、今年度は研究テーマのアイデアを拡張し、物理的なデバイスとしてパンフレットのような冊子の形状をしたものを利用することを行った。冊子は一冊の上部にタッチパネルで認識されるための導電物質を配置し、ページをめくることで通電される箇所が変わるような工夫をしてページを認識できるようにした。これによって開かれているページをアプリ側で特定すること可能となる。使用は冊子の上部がタッチパネルの下部に触れるように置くことで利用する。さらにページ内にタッチによって反応する箇所を用意することを実現した。冊子形状であることから、各ページに内容を印刷することが可能であり、冊子という同一形状のオブジェクトであっても異なる内容のインタラクションをデザインすることが可能である。
この仕組みによって複数の冊子サンプルを作成し、実行を確認した。具体的には絵本のようなイラストの書かれた複数ページに対して、中の図に関連して異なるアニメーションの表示をタッチパネル画面内に行うことや、メニューやカタログなどの内容のものを作成し、バリエーションの実現可能性を確認した。
本研究では一貫として、オブジェクトを「操作のため」のインターフェースとするのではなく、オブジェクトの利用がそのままアプリの反応を引き起こすようなインタラクションの設計を目指している。今回のアプローチでは、ページの内容に対する反応のデザインが重要であり、今後さらなる追求が行われるべき点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冊子形状の利用というアイデアの拡張に対して、実装を行い、ページの認識とそれに対応したアプリの制作による動作確認も行うことができた。インターフェースとして冊子の形態を試したことにより、モノとタッチパネルのインタラクションについてのアイデアを拡張することができた。現状では、機能面において実現性の検証という面で計画どおりの進捗を達成することができたと考えている。一方で、インタラクションのデザインの観点からの多様なアイデアの検証という点が不足していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは物体をインターフェースとして利用するための、認識方法などの物体側の工夫に主体を置いていたが、以降はアプリケーションの反応をデザインすることに注力する。具体的には、個々のオブジェクトに対して対応させるコンテンツのデザイン(表現)の工夫を考え実装することに加えて、オブジェクトの種類によってコンテンツを切り替える仕組みを実現する。したがって、オブジェクトの端点や冊子のページの識別だけでなく、オブジェクトの種別の認識の仕組みもデザインする必要がある。3Dオブジェクトの利用については、初年度で行っていた電導マテリアルの方式から、今回冊子で利用した方式でも試してみたいと考えている。また、ここまでの研究を総括し、オブジェクトとモバイルデバイスのインタラクションについてのアイデアのとりまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年に続き、コロナの影響で学会が相変わらずオンライン実施が続いており、参加による予算の使用を予定通り行うことができなかった。航空運賃や宿泊費の使用が無くなったため次年度使用額が生じた。令和4年度は、デモ及び実験用機材としてスマートフォンかタブレット(Android、iOSデバイス)を購入する。また、学会の現地開催がされればその費用に充当する予定である。
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