研究課題/領域番号 |
16K00290
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
井村 誠孝 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50343273)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感覚ディスプレイ / 信号処理 / 触覚提示 / 温冷感提示 / 生体計測 |
研究実績の概要 |
信号処理に適用することを目的として前年に導入した深層学習については,平成29年度に新たな研究成果が多数報告されているため,新たにいくつかの手法を検討した.具体的には分類問題に対する距離学習の適用,損失関数の目的に応じた補正項の導入などである. 本研究で開発するスマートチョーカーはセンシングのみならず出力機能を併せ持つものとする計画であり,日常生活を妨げることなく感覚を刺激することを目標とした出力インタフェースの構築を行った.具体的には,振動による触覚提示と温度提示について,それぞれディスプレイシステムを構築した. 振動による触覚提示に関して,複数のアクチュエータの基礎特性を検討した.DCモーター,ハプティックリアクタ,バイブロトランスデューサについて,振動特性の計測を行った.振動特性の計測にあたっては,計測装置がアクチュエータに影響を与えないように,ハイスピードカメラを用いた画像処理によりヒトの触覚感知閾である500Hz以下の振動について非接触計測を実現した.振動の提示にあたっては,対象の状態に合わせてリアルタイムに任意の周波数スペクトルを持つ振動波形を生成し,適応的な情報提示を行った.また60-90Hz付近の振動を用いた運動錯覚による擬似的な力覚提示の可能性について検討した. 温度提示についてはペルチェ素子を発熱および吸熱に用いて,温度センシングに基づくリアルタイム制御を実施し,セ氏20-40度の温度閾で数秒の時定数で所定の温度を提示可能なデバイスを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に実施を計画していた触覚および温冷覚提示ディスプレイの構築については,おおむね予定通り達成されている.ただし感覚提示に対するユーザの反応については未検証であるため,デバイスの小型化を含めた改良と並行して実施していく.
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今後の研究の推進方策 |
これまで独立に開発を行ってきた計測手法・推定手法および出力インタフェースを統合し,実際に頸部に装着できるデバイスを作成する.開発された信号処理アルゴリズムの計算量によっては,スマートチョーカーでは信号計測のみを行い,より高い計算能力のあるサーバにデータを送信して信号処理を行う構成も検討する.またインターネットとの接続,クラウドストレージへの情報保管によりユビキタスな健康状況管理を実現する.スマートチョーカーを長期間にわたって使用し,結果を統計解析することによって,本研究の実証成果を得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は出力インタフェースの構築に注力したため,購入予定であった筋電位センサについては平成30年度に購入を先送りした.次年度使用額分については,早急に筋電位センサを購入する予定である.
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