平成30年度は、可変構造マイクログリッドの基本アーキテクチャを基盤として、当該アーキテクチャの中核的な仕組みであるプラグイン型エージェント群によるシステム構成法の実装手法について検討した。本研究では、実際のマイクログリッドとその構成機器を対象としたシステム試作は困難であることから、上記の実装手法の検討では、マイクログリッドの構成要素となる機器/装置(ノード)のモデルとして、各種のIoTデバイス群を活用して、これらをエージェント化したエージェント型IoTデバイスを構成し、これを稼働中のマイクログリッドにおける能動化されたノード(プラグイン型エージェント)と見なして、システム構成機能の実装手法の設計と試作を行った。具体的には、マイクログリッド内での電力需要ノードに相当するデバイスとして、各種のセンサーデバイス、自走ロボット、無人ドローンなどを対象として、電力需給制御に関する情報交換と処理を担当するソフトウェアエージェントを試作して各デバイスに装着してシステムを構成した。また、プラグイン型エージェント群の組織化に置いては、同エージェント群の実装環境であるリポジトリ型マルチエージェントフレームワークが提供するエージェント通信機能、エージェント組織化/再組織化の協調プロトコルを利用して、これを行なった。また、発展型システムの概念に基づくマイクログリッドのノード群の自律適応型制御機構については、前年度に引き続いて、マイクログリッドシステム全体を単一のネットワーク型分散システムと見なし、同システムの巨視的なシステム活動度を状態観測指標として利用する手法について検討した。そして、シミュレーション実験等を通して、本手法の導入により、稼働中のマイクログリッドで生起する異常状態(電力消費の不均衡や自然災害・故障などに起因して観測されるシステム活動度の異常な変動)が検出できることを確認した。
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