研究課題
既存のルールマイニングアルゴリズムで獲得される設計ルールを階層構造化する新たな手法を研究し,開発するに至った.これにより,これまで独立ばらばらに得られていた大域設計情報から局所設計情報の体系化された構造体を可視化することができるようになり,これまで困難だった局所設計情報に対する物理的解釈を行う手がかりを産出できるようになった.この手法をハイブリッドロケット(JAXA宇宙科学研究所と共同研究している実問題)最適設計結果に適用した結果,目的関数空間の局所に存在する可能性のあった,適切な妥協領域(スイートスポット)の存在の明示,およびそれを実現するための局所設計情報を明示することに成功し,実用に耐えうる方法論であることを確認した.一方で,一般的なルールマイニングで用いる必要のある2つのパラメータ,すなわち確信度と支持度が階層構造化する際のボトルネックになっており,これらのパラメータ調整の際の恣意性を排除することが課題であることが明らかとなった.また,手法の改良と並行してJAXA航空技術部門との共同研究を立ち上げるに至った.この共同研究は,本研究の実績が評価されたために立ち上げることができた.データマイニング応用研究における将来課題として考えていた,非定常大規模空気力学データセットに対してデータマイニングを実施することで,これまで死蔵していたデータセットから有益な知見,将来に繋がる革新的知見を抽出・生成するための道筋を付けることができた.
1: 当初の計画以上に進展している
研究実績に記載した通り,申請時点での計画より前倒しして研究を加速させることができている.当初の予定より多くの研究を推進できている状況に鑑みて判断した.
本年度の研究で,階層構造化する際のパラメータである支持度と確信度の調整に恣意性を排除することが課題であることが明らかとなったため,最小支持度の自動設定化の研究を推進し,より汎用性のある手法に発展させる.一方,ルール生成自体は既存の方法論で対処してきたが,進化的機械学習の方法論を取り入れることで,生成されるルールに対する精度向上や革新性を追究する.これにより,生成される階層構造体の質の向上を図る.この思想の実現により,データセットから設計情報を抽出するという考え方から生成するという考え方に変わる,つまりデータマイニングにおけるパラダイムシフトが実現できると期待する.応用面では,本年度本研究の枠組みによって実現した共同研究のターゲットである非定常空気力学データセットへの適用を通じ,非定常空気力学現象の時間的空間的起点を定義することを次年度の目標に設定し,研究を推進する.将来的に,非定常空気力学現象の物理的メカニズムを明らかにし,その抑制機構の設計に結びつける.当初の予定より前倒しして研究を推進できており,引き続き多様な研究を進め,将来に繋げたい.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 9件) 図書 (1件)
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