研究課題/領域番号 |
16K00296
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
森 辰則 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70212264)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報キュレーション / 自動要約 / 情報抽出 / 世界史論述問題 / 自然言語処理 |
研究実績の概要 |
本課題では、キュレーションマップを構築する手法を考察するとともに、現実的で複雑な質問応答を想定し、世界史の論述問題等の高度情報アクセスタスクへの応用を検討する。 本年度は、(H28-1)「ネットワーク構造の縮約手法の検討」, (H28-2) 「情報の編纂と俯瞰的可視化への応用(第1期)」が計画されていた。 (H28-1)については、ノードとリンクを取捨選択する手法を検討した。具体的には、類似するノード群をまとめ、代表ノードを提示する手法を検討した。ノード間の類似度として、被リンク構造の類似度と内容関連度の両者を考慮する手法を提案した。 (H28-2)については、平成29年度実施予定の(H29-2)「情報の編纂と俯瞰的可視化への応用(第2期)」を前倒しで検討しつつ、一般のnon-factoid型質問応答タスクを想定し、キュレーションマップに基づき、「まとめ回答」を順位付けして示すとともに、まとめ回答から始めて、リンクをたどることにより次第に「詳細回答」へ至る俯瞰的な可視化が行えるデモシステムを実装した。 さらに、来年度実施予定の(H29-3) 「情報要約への応用(第1期)」を前倒しで検討した。同課題で扱う正解情報の整備として、世界史論述問題については、人間作成の模範解答と、教科書等の知識源との間の対応付けを精密に記したコーパスを整備した。多言語情報要約を想定して、複数のトピックにわたって日中英のツィートを収録し、感情分析等の情報を付与したコーパスを整備した。また、知識源から問題に関連する文群を取り出す際の再現率向上をめざし、問題文には明示されていないが、解答するにあたって非常に重要な重要語句を見出す手法について検討を行い、有効性について論じた。さらに論述問題の解答に対する評価に関して、歴史分野で必要となる時間的・空間的な一貫性を考慮した評価法を提案し、有効性について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したとおり、交付申請書に記載し、本年度に予定していた部分課題 H28-1、ならびに、H28-2について、いずれも検討した。更に、平成29年度実施予定のH29-2、H29-3についても検討した。 H28-1については、ほぼ計画通りに研究を遂行し、その内容は研究協力者の修士論文として取りまとめられているところであるが、一部、学会等で発表未定の部分があるので、今後検討したい。 H28-2についても、ほぼ計画通りに研究を遂行し、デモシステムの実装を行った。 さらに、平成29年度実施予定の(H29-2)「情報の編纂と俯瞰的可視化への応用(第2期)」を、H28-2の検討に合わせて、前倒しで検討した。また、(H29-3) 「情報要約への応用(第1期)」についても前倒しで検討し、同課題で扱う世界史の論述問題の自動解答に向けて、基礎的検討を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、交付申請書に記載し、予定していた部分課題(H29-1)「情報キュレーションマップの精緻化手法の検討(第1期)」、 (H29-2)「情報の編纂と俯瞰的可視化への応用(第2期)」、(H29-3)「情報要約への応用(第1期)」を検討する予定である。 おおむね当初計画どおりであるが、平成28年度におこなった(H29-3)に対する前倒し検討の結果、世界史の論述問題を情報アクセスの応用事例として検討する重要性が再認識されたため、(H29-3)を中心にして研究を推進する予定である。
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