研究課題/領域番号 |
16K00307
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
砂山 渡 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (40314398)
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研究分担者 |
西原 陽子 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70512101)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 知識創発 / テキストマイニング / データサイエンス / スキル獲得 / 操作履歴 |
研究実績の概要 |
平成28年度においては、データ分析過程の共有による知識創発支援の枠組みに必要な構成要素を実装した。本枠組みは、データ分析過程として、データ分析環境(TETDM)上のユーザの操作ログを、ユーザが利用(保存または再現)するための環境と、操作ログの集合を管理して共有するための環境からなる。
操作ログの保存として,データ分析環境をユーザが起動してから終了するまでの操作をログとして保存する機能を実装した。あるマイニングツールがセットされてから他のツールがセットされるまでの、ひとつの分析操作を表す操作ログとして,マウスやキーボード操作を対象として、各操作情報を記録する機能を実装した。操作ログの再現として,ひとつの操作ログを入力として与え、データ分析環境上で、操作を再現する機能を実装した。ただしこれらの機能について、一部ログとして保存が難しい操作があったり,ユーザの動作環境(CPU能力やディスプレイの解像度)が異なる際に,正しく再現されないなどの問題点があるため,今後改善を図っていく.
ログデータ共有環境の構築においては,保存されたデータ分析環境の操作ログを、他のユーザと共有するため、任意にアップロード、ダウンロードすることが可能なサーバの構築を行った. 操作ログのアップロードとして,ユーザがログデータ共有のためのサーバにアクセスした際に、操作ログをアップロードするためのサーバ上の機能を実装した。また,ユーザがログデータ共有のためのサーバにアクセスした際に、アップロードされた操作ログの一覧を表示し、その中から参照したい操作ログを選択してダウンロードできる機能を実装した。ただし,現状は基本的なサーバの機能を整備しており,実際のログデータの絞り込み方法について,独立して研究を進め,有効な操作を含む操作ログの評価方法を試験的に実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
操作履歴の保存と再現に関する機能について,基本部分は実装することができた. また操作履歴を共有するためのサーバについても,基本的な処理を実行する部分を実装することができた. これらのことから,おおむね順調に進展しており,計画通り研究が進められている.
細かい機能や使い勝手を高めるための機能については,実際に活用を行う中で改善していく必要があると考えているため,ひとまず一通りの動作を確認できる環境づくりが,計画的に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当初の計画に基づいて,以下の研究を進める. 1)一般的な操作ログと独創的な操作ログに着目できる機能を実装する(ログ共有,ログ利用環境).ログ共有環境において,目的が類似する操作ログ集合に対して、出現頻度が高い操作と、低い操作を特定する。ログ利用環境においては、特定された内容を視覚的にわかる形で可視化、再現できる機能を実装する。これにより、マイニングに不慣れなユーザは基本的な操作について、一定のスキルを有するユーザは、新たな操作の可能性について、重点的な参照が可能となる。 2)操作ログ同士の比較機能を実装する(ログ利用環境).あるユーザが、自身の操作ログと他のユーザの操作ログとの間で、何が違うかを確認できる機能を実装する。これにより、自分にない他のユーザの操作を、重点的に参照することが可能となる。特に、優れた分析スキルをもつユーザと自身の操作の比較や、自身より少しスキルを持つユーザとの操作を比較できるようにして、効果的な比較と発想を促す。 3)ユーザに参照すべき操作ログを推薦する機能を実装する(ログ共有環境).あるユーザが、自身の利用目的を入力した際に、関連する有効なログを推薦する機能を実装する。また、利用目的に関連するログの中でも、有用性の優先順位を与えて提示する。優先順位は、「有効な知識創発を行えたか」というログ生成者の自己評価などに基づいて行う。 4)ユーザが他のユーザの操作ログを用いて効果的に知識創発を行えることを検証する.あるユーザが、他のユーザの操作ログを参照しない場合、あるいは参照するログの違いによって、知識創発にどのような影響を与えるか、その支援効果を実験により検証する。また、複数のユーザの集団が、お互いの操作を見比べながら、一定期間継続的に分析を行う際に、得られる結論がどのように変化するかを確認し、操作ログの知識創発に対する支援効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度においては,計画がおおむね順調に進められたため,予定していた学生謝金の使用額が少なくなった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,積極的にシステム構築を進めるために,当初予定の支出に加えて,システム構築用のPC1台の購入を計画している.
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