研究課題/領域番号 |
16K00308
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
岩田 一貴 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (20405492)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 形状解析 / 形状検索 / ランドマーク / フルプロクルステス距離 / 非等方的スケーリング |
研究実績の概要 |
ランドマークに基づく形状解析は,生物形態学,植物形態学,画像解析,化学,バイオインフォマティクスなど様々な分野で使われている.ランドマークとは,同じクラスの形状を表す輪郭線との対応がつけられた有限個の点のことである.形状検索にはランドマークに基づく形状間の距離を用いることが多く,フルプロクルステス(full Procrustes)距離は,そのような距離のうちで最も代表的なものである.フルプロクルステス距離はランドマークを平行移動に関して不変となるように中心化し,回転行列と等方的スケーリング係数についての最適化問題を解くことによって求められる.直観的に言うと,相似変換(平行移動,回転,等方的スケーリング変換)の下で,形状間を最も近づけたときのランドマーク間の距離に相当する.しかし,フルプロクルステス距離は等方的スケーリングしか考慮しないため,同じクラスの形状であっても,シアー(shear)変換のような非相似に歪んだ形状の間の距離は大きくなってしまい,形状検索において問題になることがある.この問題を解決するためには,非等方的スケーリングを考慮する必要があるが,非等方的スケーリング変換は自由度が高いために,上述の最適化問題の解が一意に定まらないという別の問題が生じる. 今年度は,距離計量学習の枠組みを用いてこの問題を解決することにより,非等方的スケーリングに基づくフルプロクルステス距離を導出した.線描画データベースを用いた計算機実験では,導出した距離が従来の形状間の距離よりも検索性能という意味で優れていることを確認した.この成果はパターン認識分野の主要な国際会議であるACPR2017で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの成果が国際会議で発表済であるから.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度の研究結果から派生したテーマについて研究を行った.今後は、今年度の研究成果で得られたランドマーク、標本点のサンプリング、および形状のスケーリングに関する知見を生かし,本研究課題のテーマである距離集合に適した距離関数を見つける予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議の開催地が広島から近い場所(南京、中国)であったため、海外旅費が当初思っていたよりも安く済んでしまったことが理由である。その分は、来年度の計測機器購入のための追加の物品費として使用する予定である。
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