研究課題/領域番号 |
16K00315
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
藤岡 寛之 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (10349798)
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研究分担者 |
狩野 弘之 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00246654)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルインク / データ圧縮 / スプラインベースドアプローチ / 筆すべり / スパースコーディング |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者がこれまでに取り組んできたスプライン関数の理論と応用に関する発展として位置づけ、いわゆるスプラインベースドアプローチに基づくタブレットPC等の電子機器上での筆記を表現するために使われるデジタルインクのデータ圧縮法を確立する、ことを目的としている。平成28年度は、まずは統計学的見地から筆すべりの現象解明を行う予定であった。既に、基礎実験により、ヒトの筆滑りは大よそ0.1秒間のバーストとして現れ、そのときの微分値が瞬間的に大きくなることが得られていたが、データ取得に予想以上の結果がかかっており、上述以上の結果は現在のところ得られていない。一方で、本年度の主成果としては、これまでの基礎理論を見直すことで、平成30年度に取り組む予定であったスパースコーディングと辞書学習に基づくいわゆるデジタルインクの超圧縮法についての基礎結果を得た。具体的には、Ahronらのk-SVD法と呼ばれる手法を用いて訓練データから特異値分解を行い学習することで過完備な基底集合(辞書とも呼ぶ)を構築した。その後、Tibshiraniにより提案されたLeast absolute shrinkage and selection operator(LASSO)と呼ばれるL1正則化を用いることでデータ超圧縮を行った。結果は従来法に較べかなり良好であったものの、現段階では、文字の種類やサイズなどに制限があるなどの課題が残っている状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間に取り組む課題は以下の(A)、 (B)、 (C)であり、初年度は課題(A)、(B)に注力し完了する計画である。本初年度においては、課題(A)についての成果は出ていないものの、課題(B)と課題(C)についてはおおよその見通しがたち、研究内容の進展、および国際会議発表などによる成果の公表は順調なペースで進んでいる。(A) 統計学的見地からの筆滑りの現象解明、(B) 筆滑りにロバストなデジタルインク圧縮法の開発、(C) スパースコーディングと辞書学習に基づく超圧縮法の開発
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今後の研究の推進方策 |
当初の申請した計画に沿って、(A)の研究については引き続き筆記データの取得を行い、(B)の研究についても現在の成果をもとに注力し完成させる。また、課題(C)については予備的な研究成果を得られており、それをもとに発展させる。現段階では研究遂行上での変更の必要性や問題点は特にない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の所要額のうち次年度使用額416,611円は当初のシミュレーション・実験用計算機の購入費用として充てる予定であったが,本年度使用の緊急性もなく次年度予算と合わせシミュレーション・実験用計算機の購入費用として使用するのが有効と判断した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額416,611円は、次年度のシミュレーション・実験用計算機の購入費用として使用することを計画する。
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