前回の科研費で提案した「時間逆転モンテカルロ法」による珍しい現象の確率の計算法をさらに発展させた。提案手法では、ゴールとなる状態から初期状態に向かって逆に経路を追いかけることで、与えられた確率差分方程式モデルのもとでの事象の生起確率を計算する。本研究では、(1)経路の分裂・消去を含む逐次モンテカルロ法の導入、(2)高次近似にもとづく逆方向の遷移確率の改良、(3)確率の高い初期状態のほうに経路を誘導する「ガイド場」の導入、の3つの改良を試み、これらがバイアスを生ぜずに計算効率を改善することを示した。
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