研究課題/領域番号 |
16K00349
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大矢 晃久 筑波大学, システム情報系, 教授 (30241798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人間誘導 / 視覚障碍者 / 三次元測域センサ |
研究実績の概要 |
本研究では、視覚障碍者のための新しい単独歩行支援方式として、予め作成しておいた地図中で指定した経路に沿うように正確に目的地まで誘導する方法を提案し、実際にシステムを試作してその有用性を評価することを目的としている。誘導する対象者の現在位置と姿勢を計測するセンサには近年開発された三次元レーザ距離センサを用いて周囲環境を立体的に計測し、進むべき方向の指示には複数の振動モータを配置したベルトを使用する。 本年度末までに実施した項目と実績は以下のとおりである。 1.これまでに提案している二次元の測域センサを用いた人間の誘導方式を、三次元センサ用に拡張した。まずは、三次元測域センサから得られる計測データを、センサ内部にある姿勢センサの角度情報により補正し、身体の傾きが変化することに対応した。次に、床のデータを削除し、残ったデータを用いて現在位置認識を行う方式を構築した。 2.二次元のセンサでは検知できなかった床に置かれた障害物等を検出するアルゴリズムを構築した。また、障害物が検出された際に、誘導している人間に対して減速や停止の指示を与える方式を提案し、実験システムに組み込んだ。 3.一つの目標として考えている「駅で電車に乗る行動」について検討した。具体的には、改札のように狭い通路を通り抜ける際の誘導方法を検討し、移動方向を変える「旋回」指示に加えて「平行移動」指示も追加することで、スムーズな通り抜けを実現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度においては、(1)振動モータのベルトへの配置と振動パターンの検討、(2)誘導対象者の現在位置姿勢認識精度と経路歩行精度の検証、(3)駅の改札口の通り抜け方法の検討を行う予定であった。このうち、まず(3)を実施し、それに伴って(1)の振動パターンの検討を実施した。(1)の振動モータのベルトへの配置と(2)については次年度以降に繰り越す代わりに、平成29年度に実施予定であった障害物の検知を実施するとともに、三次元測域センサのデータ処理方法の検討を行った。 上記のとおり、多少の実施項目の入れ替わりはあるが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
以下の項目について順次実施し、最終的に駅で改札口を抜けてからホームで電車に乗るまでの誘導を実現していく。 ・階段やエスカレーター等に対する誘導方法の検討 ・ホーム上を安全に誘導する方法の検討 ・電車への乗り込み方法の検討 さらに、様々な屋内外の環境での誘導を試み、本方式の有効な範囲を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入しようとしていた消耗品の金額が、未使用額を少し超えることがわかった。研究の計画上、次年度に購入しても遅れが生じないと判明したので購入を控えたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金と合わせて、検討していた物品の購入に使用する。
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