人や物によって形成される空間的な間を読みながら自律的に行動するロボットに関連して、以下の研究を行った。 (1)自律移動ロボットのための物体の潜在的な占有空間の解析:実際に物がある訳ではないが、物や人によって実質的に使われている空間を潜在的な占有空間として定義し、その概念を解析することで、ロボットが安全かつ自然に通過可能な空間を求めた。人と障害物を距離情報により認識する。目的地からの引力と潜在的な占有空間からの斥力の合力を元にポテンシャル場を生成し、潜在的な占有空間にできるだけ入らないように経路生成と移動を行う。シミュレーション実験によって、本方法の有効性を確認した。 (2)複数人や物によって形成される空間的な間の意味を解釈した経路生成:人の個人空間への侵入を避けようとすると混雑時にはロボットの移動経路が生成しにくくなる。そこで混雑度によって個人空間の大きさを自動的に変化させ、経路を生成しやすくする。経路生成時には、個人空間モデルで計算した個人空間外縁部の閾値によって経路候補点に対するサンプリングの仕方を変化させ、また、衝突判定を行う。人と人の関係性だけではなく、人と物の関係性のモデルも提案した。シミュレーション実験を行い、空間的な間を考慮した経路を生成できることを検証した。 (3)人とのインタラクションを介した移動経路生成:自律移動ロボットが経路上にいる人とインタラクションを行い、その結果に応じて移動の仕方を柔軟に変える手法を考案した。局所的な経路計画にはSmooth Nearness Diagram手法を用い、人の検出にはYOLO手法による画像認識を用いた。人とのインタラクションは主に音声会話によって行った。ロボットは最適と判断した領域の通過の許可を求める質問を行い、人からの許可や拒否の内容に応じて自らの行動及び移動経路を選択する。実機実験により、本手法の有用性を確かめた。
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