研究課題/領域番号 |
16K00363
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
廣井 富 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80405927)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 知能ロボティクス / ヒューマン・ロボットインタラクション / 遊びロボット / ロボットアバタ / 生活支援 |
研究実績の概要 |
核家族化,少子高齢化等の影響により,子供の外遊びの機会が減っている.本研究の目的は,子供と動的なインタラクションが可能な生活支援ロボットを実現することである.これが実現すると,屋外環境下においてもロバストに動作可能なロボットが開発されることと,ロボットによる家事支援や伝統的な遊びの継承が可能になる.具体的には,ルールが簡潔で役割が明確に分かれている「だるまさんが転んだ」をテーマに扱う.このテーマを解決することによりロボットの性能評価を明確に行える.本研究は,以下の2 点の実現を目指す. 1.屋外で人と「だるまさんが転んだ」遊びが可能な移動ロボットの開発 2.複数のロボットを用いた「だるまさんが転んだ」による人の行動理解・協調制御の実現 平成28年度は,(I) 「屋外で人と「だるまさんが転んだ」遊びが可能な移動ロボットの開発」のために,まず,(I)のサブテーマであるa)屋外環境下において移動可能なロボットの開発とb)屋外環境下におけるロバストな人追従技術の確立を並列に行った. まずは,屋外で移動可能なロボットの開発を行った.申請者の今までの蓄積した技術を応用できるように,本研究室で開発している生活支援ロボットASAHIで用いているPIONEER-3DX という移動ロボットをベースに試作機を開発した.また,申請者がこれまで研究してきたロボットの親和性を向上させるための小型のコミュニケーションロボットである「ロボットアバタ」を配置した.「だるまさんが転んだ」を行う際に,このロボットが,振り向くことや,指差しをすることで,「だるまさんが転んだ」の鬼の役割を示す.これがアウトを判定するサブシステムと連動し,システム全体として機能することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LRF(レーザ距離センサ)を用いて,「だるまさんが転んだ」を行うにあたり,次の問題点が生じていた.1つ目は,人の胴体と人の腕を間違うことがあることであり,2つ目は腕と胴体の重なり方によっては,追跡する対象者を見失うことである.これに対し,前者に対しては,人の胴体と腕の幅を比較する「幅判定手法」を開発し,対応した.後者に対しては対象者の見失いが生じた時点で,仮の検出点を生成する「重なり判定手法」を開発することで見失いをなくした.また,今までに実現できていなかったロボットの状態(「だるまさんが転んだ」における指差し等)を示すためのロボットアバタを配置し,システムが問題なく機能することを確認している. なお,屋外で移動可能なロボットの開発は,移動ロボットの納期の問題により若干の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は, 引き続き,屋外で移動可能なロボットの開発を行う.ロボットは2台目を製作する. このロボットにより,屋外環境において「だるまさんが転んだ」を行ううえで人と誤検出しやすい,遊具などを除外する環境地図の作成手法を開発する. 次に(II)「複数のロボットを用いた「だるまさんが転んだ」による人の行動理解・協調制御の実現」のサブテーマである「アウト」等の状況を判断し,的確に人とインタラクション可能な技術を確立を行う.人(鬼)の振り返りに注目し,LRFを用いた人の角度推定手法を確立する.具体的には,人の推定角度が3deg以内,人の振り返りは,1秒間に90degに対応することとする.これにより,状況をロボットが理解し,的確なインタラクションを可能とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
移動ロボットの納品の遅れにより,物品等購入していないものがあるため.
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次年度使用額の使用計画 |
移動ロボット開発の2台目がまだ完了していないため,その開発費,および国内,国際学会発表等に用いる.
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