研究課題/領域番号 |
16K00364
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
石田 文彦 富山高等専門学校, 電気制御システム工学科, 准教授 (20345432)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体生命情報学 / 知能ロボティクス / 神経科学 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
社会性動物にとり重要な他者との動的協調性すなわちコミュニケーションについて,実時間相互作用の動的協調性評価方法および運動先行性を特徴とするプロアクティブ制御を鍵にして,2者間実時間動的協調性の実態を明らかにし,コミュニケーションの定量的研究基盤の構築および協調性を操作し最適化するための基礎技術を確立することを目的とする.本年度はプロアクティブ制御観測時の特徴である被験者の運動速度リズム機構を明らかにする.本年度の成果は以下の通りである. 1. 運動速度リズム生成機構に関わる制御要素を同定するため,視線情報測定装置を導入し,既存設備である手動運動位置計測装置と組み合わせて,視線と手動運動を同時測定可能な視覚目標追跡運動実験装置を構築した. 2. 構築した実験システムを用いて予備的な追跡運動実験を実施した.運動速度,運動範囲,運動軌道など視覚目標運動に関する部分と視線推定精度の向上のための被験者頭部運動の制限方法,手動軌道の制限方法など実験環境に関連する部分など,次年度以降への被験者実験の際の実験パラメータの決定に資した. 2. 追跡運動制御モデルにより運動先行性とリズム成分との関連機構および付加非線形項,フィードバック要素とフィードフォワード要素との関係に関連したリズム自己生成機構を明らかにするため,制御モデル中の各情報の時間発展の詳細を追跡し,各制御項の寄与を明らかにするための実験条件の検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は,運動先行性と運動速度リズムの自己生成機構との関係を明らかにすることで,そのための視覚目標運動追跡実験系の構築および予備実験の実施,制御モデルの内部情報の整理を通じて,各制御項への先行性やリズム生成への寄与を明らかにする実験条件の検討を行った. 研究実績の概要の示す通り,ほぼ計画通りに研究を遂行したと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,コミュニケーション状態の計測,解析および制御モデルの数値実験により,コミュニケーションの理論研究基盤の構築を目指す. そのため,追跡運動実験と制御モデルとの比較により,リズム自己生成機構を明らかにするとともに,リズムへの関与方法の検討を行う.また,実験装置を相互追跡運動実験に拡張し,コミュニケーション最適状態の計測を行う.合わせて,コミュニケーション制御モデルを構築し,理論特性を求め,実験結果との比較を行い,コミュニケーション最適状態の普遍性と限界を導く.
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次年度使用額が生じた理由 |
追跡実験系の構築の際に謝金の支払いを計画していたが,研究代表者自らが実験系の構築を行ったので費用がかからなかった.また,研究成果発表用の旅費を計画していたが,発表学会の見直しなどを行い次年度以降に使用するように当初計画を変更した.
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次年度使用額の使用計画 |
相互追跡実験装置を構築するための電子機器類,その他必要な消耗品,また,コミュニケーション仮想実験のための計算機等を購入する(1,400,000円程度).また,成果報告や研究打ち合わせ等で旅費(200,000円程度),実験装置構築及び被験者への謝金(30,000円程度),その他,論文投稿のための英文校閲費や学会参加費として使用する計画である.
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