研究課題/領域番号 |
16K00366
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
豊村 暁 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (90421990)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 吃音 / 発話 / 上肢 / 下肢 / 事象関連電位 / マインドフルネス / 情動 |
研究実績の概要 |
本研究では,吃音のメカニズムを考察するために,発話だけでなく上肢や下肢の運動の性質・個人差に着目して研究を進める.発話の際に自分の声を知覚する聴覚フィードバックの性質は吃音話者と非吃音話者で異なり,個人差も大きい.気づきを向上させる訓練法の一つとしてマインドフルネス瞑想法が知られているが,聴覚フィードバックを含めた自己の感覚への気づきに着目することは,吃音の理解や改善のヒントとなるかもしれない.そこで本研究ではまず,マインドフルネスが聴覚フィードバック知覚を変化させるかを検討した.非吃音話者が一定期間練習を行い,その前後で遅延聴覚フィードバック条件下における発話の乱れや,遅延聴覚フィードバック音に対する聴覚誘発電位が変化するかを調査した.結果は,マインドフルネスを練習した群では,短い「あ」の発話時の遅延聴覚フィードバック音に対する聴覚誘発電位の振幅が有意に上昇し,さらに遅延聴覚フィードバック条件下における文章読み課題中の発話の乱れが有意に減少する結果が得られ,「気づきが上昇しているが発話が乱されにくくなる」ことを示唆する結果が得られた. 下肢運動に関わる神経基盤を調査する目的で,障害物のない場所を移動している動画を見ながら足を動かす条件と,障害物を避けながら移動している動画を見ながら足を動かす条件で計測したMRIデータについて解析を進めた.被験者の足の裏に貼り付けられたマーカーの動きの動画を解析することで,足の動きと脳活動の関連を調査した.頭頂葉,後頭葉や運動野などは,障害物を避ける随意的な制御に対してより関わることが示唆された.これらの結果について,解析・論文化を進め,論文誌に投稿した.また,上肢運動として,複雑な指回しタスクを吃音者・非吃音者に対して課したデータの映像解析と統計解析を進め,まとめる作業を行ってきた.その他,口唇運動の模倣に関するMRIデータの解析を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的に実験・解析を進めており,順次結果が出ているため,おおむね順調に進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の実験を引き続き継続する.すでに終了した実験についてデータ解析を進める.結果が出てきたら順次まとめる作業を行う.吃音当事者や関係者と議論する場を設ける.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験参加者数や,参加者に支払う交通費の予測が難しく,最後に若干の残りが生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
謝金・人件費,実験機器類,出張費,英文校正料,その他消耗品等の費用に充てる.
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