研究課題/領域番号 |
16K00367
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
村松 慶一 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30634274)
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研究分担者 |
綿貫 啓一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30212327)
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
田中 英一郎 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (10369952)
木見田 康治 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (60632495)
石井 隆稔 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 研究員 (40741591)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 感性評価 / 生体情報 / オントロジー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,感性価値認識のモデル構築と生体情報のマッピングである.生体情報に基づいた感性評価に関する知見を体系化することで,感性価値認識という心の構造を統一的に理解することを目指すものである.当該年度の目標は感性評価の表現開発と感性価値認識のモデル化を行うことである.感性評価の表現開発については,まず行った印象評価実験の生体情報とアンケート結果の取りまとめを行った.香りをかいだ際の心拍変動のカオス解析結果と快/不快の回答との関係としては,不快の回答に対応してアトラクタの揺らぎが増加する傾向となった.ただし,個人差が大きく生体情報の傾向として何パターン化に分けられることが示唆された.そこで,メタ的な分析と目的として,評価を行う際の脳機能や眼球情報について実験を行い考察した.まず,認知負荷をかけた際の脳機能計測では,負荷がかかるにしたがって脳血流が増加するが,全体を通して増加する傾向と,後半から増加する傾向の二つが観察された.また,視線情報と伝達されたメッセージの理解状態の関係としては,理解状態の回答を境に瞳孔の散瞳と縮瞳の傾向が切り替わることが明らかになった.これらの結果から,感性評価を行っている際の実験参加者の認知・心理状態に対応して生体情報データの表れ方が大きく異なることが考えられるが,大局的にはいくつかのパターンに分類できる可能性がある.今後はそれらの類型化について研究を進めていく.これらを踏まえて,感性評価の表現開発としては個人差をどのように表現するかが課題であり,そのオントロジー記述を試みた.しかし,個人差そのものの概念記述には至っておらず,今後も精緻化が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オントロジー記述については個人差の概念化を試みたものの,まだ精緻化が必要な状態である.それに伴って,感性評価の表現開発に,やや遅れが生じている.これまでの実験結果を参考にオントロジー記述を進める必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果についてさらに精査することで,オントロジー記述のアイデアとなる知見を得る予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた項目は主に物品費および人件費・謝金である.生体情報の実験結果のとりまとめとオントロジー構築に伴う人件費・謝金に使用する予定である.
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