研究課題
本研究の目的は,感性価値認識のモデル構築と生体情報のマッピングである.生体情報に基づいた感性評価に関する知見を体系化することで,感性価値認識という心の構造を統一的に理解することを目指すものである.研究期間全体を通して,(1)感性評価の表現開発,(2)価値認識に関する概念化,(3)感性価値認識のモデル化を行った.まず,(1) 感性評価の表現開発として,まず,視覚,聴覚,嗅覚の刺激に対する主観評価とそれに対応する生体情報について取得する実験を行った.視覚刺激としてLEDを用いて調光したパネルを用いて主観評価とともに脳血流,発汗,呼吸を計測した.また,聴覚刺激としてはヒーリング音楽を用いて感情の主観評価とともに脳血流を計測した.嗅覚刺激としては食料,飲料の香りを用いて好みの主観評価とともに脳血流の計測を行った.その上で,印象評価実験の生体情報とアンケート結果の取りまとめを行うことで,感性評価を行っている際の実験参加者の認知・心理状態に対応する生体情報データの表れ方の類型化を試みた.(3)価値認識に関する概念化として,感情や感覚などのユーザの状態を定義したオントロジーを構築した.これにより,感性評価に関わる感情や感覚などのユーザの状態を表現する基盤が得られた.さらに,感覚間の共通構造については,感性評価に用いる語句を整理することによって感覚同士の関連性について分析を行った.さらに,最終年度には印象評価実験の結果から実験参加者の認知・心理状態に対応した生体情報データのパターン分けを記述するために,個人差を表現するオントロジー記述について検討した.その上で,価値認識マップとして印象評価実験の結果を可視化するため,具体的なサービス設計事例を取り上げて感性価値の記述に取り組んだ.
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