研究課題/領域番号 |
16K00369
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光吉 俊二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (30570262)
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研究分担者 |
篠原 修二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (10325897)
中村 光晃 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30772975)
徳野 慎一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40508339)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティー / 感情音声 / 恐怖 / 笑い / 元気度 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本年度は、恐怖の音声取得と解析、学会発表を行った。また、恐怖と反対側の感情との比較として、楽しさと笑いの音声所得と解析を行った。実験は、絵画を提示して感情音声を取得して分析した。次に、バーチャルリアリティーの映像を提示して、感情音声を取得し、分析した。ロジスティクリグレッションの分析手法により、二つの実験の結果は、音声から恐怖と平常の感情を識別できることを示した。また、バーチャルリアリティーの映像を提示した場合、恐怖の感情の識別はもっと簡単に分かる。つまり、強い刺激を与えた場合、音声から恐怖の識別の精度が上がる。この研究結果は、ISBS2019(International Stress and Behavior Society)にて発表の予定。 また、神奈川県での笑いの実験では、アンケート分析との比較も行った。高齢者向け住宅に入居している介護状態ではない高齢者および近隣居住者を含む25名の被験者を対象とした。年齢は平均74±15歳であり、男性12名、女性13名であった。笑いのコンテンツを提示することで被験者の身体と意識にどのような変化が生じるのかを検証するため、笑い提供の前後および提供中の音声・表情・心拍を取得した。結果は、笑顔度が高いほどコミュニケーション後に音声の元気度は増加する傾向が確認できた。相関係数は0.52であり中程度の相関が確認できた。男女別では男性0.35、女性0.61であった。実験参加者毎にコミュニケーション中に最も検出された感情(Max Emotion)と笑顔度の関係では、コミュニケーション後に元気圧が増加している被験者の多くがコミュニケーション中にHappyの感情が最も表出される傾向のあることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までは、東京大学の個人情報解釈の変更などから、倫理委員会及び倫理規定の見直しがあり、計画が遅れた。また、その結果、恐怖のストレスを実験参加者に与えることができないことになり、実験計画の見直しも行った。しかし、コンピュータによるバーチャルリアリティーを使った刺激であれば、可能であることがわかり、一気に実験にまで進めた。また、神奈川県での共同実験により、恐怖と反対側の感情としての楽しみや笑いの音声取得も出来た。結果、音声から平常と恐怖の識別が可能となり、これが笑いや元気度と別のパラメタで指標となることが示せた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的である音声から恐怖の感情を識別させる手段を確立させた。しかし、恐怖の感情の生理メカニズムと音声の関係の因果関係や機能関係までには至っていない。本研究は本年度で終了するが、引き続き、恐怖と不安の関係を含めてそのメカニズムと音声の関係を研究して行くことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果を発表するための学会が次年度に開催のため。
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