研究課題/領域番号 |
16K00370
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
寶珍 輝尚 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (00251984)
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研究分担者 |
野宮 浩揮 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (80533116)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感性 / 印象 / 異種メディア / 相互検索 / 動画 / 同期 / 季節 / 気分 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,以下の3項目を行った. (1)動画の因子得点を求めた40個以外の動画を検索対象とするために,動画の特徴量からの感性の主因子の因子得点の推定を行った.ここでは,カラー動画に対して RGBの割合や動きといった動画の特徴量から因子得点を重回帰分析により精度良く推定することを可能とした.また,異なる動画セットと実験協力者集合により求められた因子得点の相互変換を行列により行う手法を開発した. (2)動画や音楽の時間的調和において重要な動画の速度について,複数の物体や背景が移動する場合の動画の速度の明確化を行い,背景の速度と物体の速度から動画の速度を求める式を導出した.また,音楽の印象の変化に応じて画像を切り替えるために,音楽の印象の変化点を求める手法も開発した. (3)検索への季節の影響の明確化実験を行った.夏秋冬という季節ごとに,40枚の画像の印象等を同一の12名の実験協力者に16印象語対を用いて5段階で評価してもらった.また,夏と冬では冷暖房の影響を考慮した温度で実験を行った.実験の結果,季節による画像の印象の変化,ならびに,温度による影響が見られることを明らかにした. 以上より,本研究の目標である5項目のうち,(1)動画の相互検索,(2)視聴覚素材の調和を考慮した検索と提示,(3)季節に適応した検索の3項目を可能とするための基礎的検討を終了した.学術的には,動画の特徴量からの感性の主因子の因子得点の推定,ならびに,画像検索への季節の影響を明確化することができ,時間的調和のために必要不可欠な動画の速度を求めることが可能となった.これらは,一般の人が利用可能な感性に基づく異種メディアデータ相互検索システムを実動させるために非常に重要である.そして,世の中の人々が明るい気持ちで生活でき,沈んだ気分を解消して明るい気分になれるようにするために大きな意義がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に実施を予定していた「1.動画の特徴量からの感性の主因子の因子得点の推定」を終了することができた.平成28年度に実験準備を行うとしていた「3.検索への季節の影響の明確化」は,平成28年度に実験を完了することができた.また,平成29年度に行うとしていた「2.同期による時間的類似度の変化を考慮した検索法」は先行して検討を開始することができた.一方,平成28年度に検討する予定であった「4.表情からの気分の特定と検索での利用」は,気分の特定が難航したため終了に至れなかった.以上を総合すると,研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に終了できなかった「4.表情からの気分の特定と検索での利用」を平成29年度に終了する.また,平成28年度に先行して開始できた「2.同期による時間的類似度の変化を考慮した検索法」は平成29年度に検討を終了させる.さらに,「1.動画の特徴量からの感性の主因子の因子得点の推定」の結果必要となった「動画の感性の主因子の相互利用」の検討を平成29年度に行う.平成29年度後半には「5.検索したい視聴覚素材の印象の空間的な指定法とそれに基づく素材検索」の検討を開始し,平成30年度後半には,研究全体の評価を行い,まとめを行う.
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