平成30年度は,以下の4項目を行った. (1)音楽の印象の変化点において,音楽の印象により合致した画像を検索することを可能とし,これに基づいて音楽に合わせたスライドショーの自動生成を可能とした.また,検索された画像の印象が類似しているだけではなく,画像の内容に踏み込むことで内容的に一貫した画像を検索する手法の基礎を開発した. (2)音楽のビート間隔と調和しているように感じる動画のアクセントの間隔(調和間隔)を利用して,音楽と動画の時間的調和を取る手法を開発し,音楽のビートと動画のアクセントを合わせながら音楽と動画の再生を行うことを可能とした. (3)様々なメディアデータを対象にして行った印象評価実験の結果得られる因子得点の相互変換を行う変換行列が,感性空間の回転操作と重み付けの積として表現可能であることを示し,変換行列の適用に根拠を与えることを可能とした. (4)空間的印象評価法で考案した印象の空間的な指定法を利用して,検索したい素材の印象を指定可能とした.そして,指定した印象から感性の主因子の因子得点を求め,その因子得点に類似したメディアデータを求める手法を開発した. 以上より,本研究の目標である5項目の検討を終了した.これにより,一般の人が利用可能な感性に基づく異種メディアデータ相互検索システムを実現するための要素技術を開発することができた.これらの要素技術は,世の中の人々が明るい気持ちで生活でき,沈んだ気分を解消して明るい気分になれるようにするための感性に基づく異種メディアデータ相互検索システムの実動に不可欠であり,意義は大きい.
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