研究課題
音楽嗜好性脳波に関して、1)これまでに測定したデータの再解析を行い、2)電極間位相差が脳波特徴になり得るか、3)社会的排除課題を行い、気分変化を誘導するとどのように嗜好性脳波が変化するか調べた。その結果,1)左前頭γ波が音楽嗜好性に有意に相関している事を明らかにし論文としてまとめた.2)10名の脳波を解析し音楽嗜好性間に電極間位相差の有意差が見られるか調べた.思考判断時では1要因分散分析において周波数に有意な主効果が見られ、特にθ波では有意な結果が得られた (**p<0.01).音楽聴取時でもθ波とα波で見られる傾向だったが、多重比較を行った所、有意な電極組はなかった.また,この結果を基に有意差が出た電極組を特徴ベクトルにし線形判別分析を行った。その結果、音楽聴取時ではslow-γの位相差を用いた場合,思考判断時ではfast-γ波の位相差を用いた場合、それぞれ高く、平均は80%程だった.この結果は、以前報告した脳波パワー値を用いる場合よりも高かった。音楽嗜好性脳波特徴判別のためには電極間位相差を用いる方が良い事が分かった.また3)には女性1名を含む19名の参加者に実験に参加して貰った.その結果、サイバーボール社会的排除課題により、①状態不安得点は増加傾向(p=0.099)となり、②音楽評価得点が有意に変化し、また③音楽評価得点とBPM間の相関係数は正から負に変化した。従って社会的排除課題により不安を増大させ、遅いBPMの曲が好まれるように評価得点が変化した。④社会的排除課題後、音楽評価得点と有意な相関脳波は減少した(*p<0.05)。一方、⑤BPMと相関のある脳波は残った。以上の事から、通常、私たちの脳は相関脳波を元に音楽嗜好性評価をしているが、社会的排除課題により一時的に不安が増大すると、BPM等、曲の物理特性を元に嗜好性判断がされると考えられる。
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Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: 10 ページ: 249~255
https://doi.org/10.1587/nolta.10.249
http://www.brain.kyutech.ac.jp/~natume/labogyouseki.html