研究課題/領域番号 |
16K00377
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
大西 仁 放送大学, 教養学部, 教授 (40280549)
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研究分担者 |
古野 公紀 帝京大学, 文学部, 助手 (60533578)
望月 要 帝京大学, 文学部, 教授 (80280543)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 協和感 / 不協和感 / 知覚 / 推定モデル |
研究実績の概要 |
提案した協和感推定モデルをより広い刺激音に適用できるようモデルの修正を行った.適用対象は,刺激音は,それまでの短二度音程(12音高×3音色),完全五度音程(12音高×3音色)に加え,完全一度から短二度までの12音程(2音高×3音色)とした.前年度までに,元のモデル(パラメタ)のままでは当てはまりが悪いこと,データが増えて計算量が大きくなり,このままではパラメタ推定が難しいことが分かっていた. 当該年度では,まず協和感推定計算のアルゴリズムを改良することで,パラメタ推定のための探索ができる程度まで高速化した.また,元のモデルの強すぎる仮定を外す等の拡張と改良を行った.これらの変更に伴い,パラメタ推定用のプログラムを全面的に書き直した.パラメタ推定の計算を開始したが,まだ良い結果は得られておらず,引き続き修正,改良をしながら推定の計算を行う. 動物における協和感知覚に関しては,基本的な単一強化スケジュールを使用した動物実験におけるオペラント行動を対象として,ベイズ的アプローチによるモデリングを行った。推定のために統計モデリング言語であるStanを使用し,MCMC法を実行した。その結果,推定されたパラメータの分布(事後分布)をスケジュール間で比較することにより,オペラント行動におけるスケジュール間の差異の有無だけでなく,差異の程度を確率的に評価することが可能となった。 本年度では,協和感推定モデルのベイズ的拡張の足がかりとして,パラメータが少ない単純なモデルを扱い,その有効性を検証した。今後は,例えばパラメータが多く階層性を持つような,より複雑なモデルへ展開しつつ,協和感推定モデルに適用可能かを検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は,パラメタ推定において,最適までとはいかないまでもある程度の推定精度に到達することを期待していたが,パラメタ推定のプログラムが動き出したところで年度末になった.予定より遅れたのは,計算の高速化,パラメタの推定方法において,技術的課題を克服すための技術習得と試行錯誤に時間を要したことによる.
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今後の研究の推進方策 |
パラメタ推定がうまくいっていない(プログラムのバグ以外の)原因としては,モデルの表現力(表現力が弱い,制約条件が不適切),局所最適解に陥っているのいずれか,または両方と考えられる.そこで,前者については新しい制約条件を導入した計算を始めている.後者については進化的計算(実数値遺伝的アルゴリズム,差分進化,カッコウ探索)の導入を考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
元々半年遅れの採択で,前々年度(2017)は大学業務でほとんど研究を進められなかったことから,前年度が実質1年目であった.モデルの推定計算においてある程度の結果が出てからでないと,実験の実施や成果発表に進めず,購入機器の選定もできなかった.
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