研究実績の概要 |
本研究では,網羅的タンパク質ドッキングによって対象タンパク質群から相互作用し得るペアを予測する.まず,既存手法を改良して 1. 網羅的タンパク質ドッキングによる高精度な相互作用予測手法の開発を目指した.次に,熱帯病を引きおこす寄生原虫のタンパク質,熱帯病の原因となるウイルスと宿主であるヒトのタンパク質を対象にこの手法を適用して2. 熱帯病関連タンパク質間相互作用 (Protein-protein interaction, PPI) の探索を実施した.さらに,これまで少数の既知タンパク質複合体の立体構造データから限定的に議論されてきたウイルス-宿主タンパク質間相互作用の特徴について,3. ドッキング結果に基づくウイルス-宿主タンパク質間相互作用の解析を行ない,新たな知見につなげることを目指した. 平成29年度までに,T. cruzi のPPIと,デングウイルス-ヒトPPIの予測,平成30年度には,原虫のタンパク質とヒトタンパク質との相互作用予測を行った結果,検討すべき新規PPI候補を T. cruzi について39件,デングウイルス-ヒト間について28件得た.さらに,これまでに実施したヒトのタンパク質間相互作用予測について,得られた新規相互作用候補のうち一組について,免疫沈降法を用いた検証を行い,実際に結合がみられることを確認した.平成29年度から30年度にかけては、相互作用面の原子レベルのグラフ表現を用いた予測手法をさらに改良し,既知の結合構造の特徴を学習して,入力された候補結合構造の結合の強さを予測する手法の開発を始め,小規模なテストデータにて良好な結果を得た.さらに,ウイルスー宿主タンパク質間相互作用について、タンパク質ドッキング計算と相互作用プロファイルによる解析を行った。
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