現在、変異原による変異誘導によりHIV-1遺伝子を破壊する新規エイズ治療法(致死的突然変異生成法)の開発が欧米を中心に進められている。本研究では、同治療法の早期実用化を目指し、数理的アプローチから主に二つの結果を得た。一つは、変異原と既存の抗HIV-1薬(逆転写酵素阻害剤)の併用治療の有効性をシミュレーション実験により確認した。もう一つは、同治療によるHIV-1潜伏感染細胞の除去メカニズムを明らかにした。具体的には、変異原による治療下では、潜伏感染細胞が緩やかに減少することを示し、その減少速度を決定しているパラメータを同定することに成功した。
|