| 研究課題/領域番号 |
16K00395
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| 研究機関 | 山口大学 |
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研究代表者 |
葛 崎偉 山口大学, 教育学部, 教授 (30263750)
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| 研究分担者 |
中田 充 山口大学, 教育学部, 教授 (60304466)
呉 靭 山口短期大学, 情報メディア学科, 准教授 (70708015)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 経絡 / 十二正経 / 五臓六腑 / ペトリネット / モデリング / シミュレーション |
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| 研究実績の概要 |
東洋医学では，人体の内臓器官を五臓（心・肺・脾・肝・腎）と六腑（小腸・大腸・胃・胆・膀・三焦）で表現している．また，経絡は20 の経脈（12 正経と8奇経）と15 の絡脈からなり，そのうち五臓六腑と最も密接な関係にある12 正経はそれぞれ臓および腑に対応しており，陰陽・上下で循環し一つに纏っている．平成28年度においては，三焦を含む完全な五臓六腑のモデルの構築法を提案し，五臓六腑の全てと関係すると言われている足の少陰腎経について，各経穴と臓腑との影響関係を調査し，その対応表をまとめた．しかし，五臓六腑と足の少陰腎経と結合したモデルができていなく，また12 正経中，他の11経脈の経穴と臓腑との影響関係の調査もできていなかった．
12 正経は，手の太陰肺経・手の厥陰心包経・手の少陰心経（手三陰経），手の陽明大腸経・手の少陽三焦経・手の太陽小腸経（手三陽経），足の陽明胃経・足の少陽胆経・足の太陽膀胱経（足三陽経），足の太陰脾経・足の厥陰肝経・足の少陰腎経（足三陰経）からなっている．平成29年度においては12 正経のモデリングとシミュレーションについて，以下の研究成果を挙げられた．①まず前年度まとめた対応表に基づいて，五臓六腑と足の少陰腎経との結合モデルを構築した．②12正経中の他の11経脈の各経穴と臓腑との影響関係対応表をまとめ，それぞれの経脈の階層モデルを構築した．③膨大な数の経穴（309穴）と五臓六腑との接続を簡潔に表現するために，12正経と五臓六腑とのインターフェースモデルを設計し，五臓六腑と12正経との結合モデルを構築した．④CPN Toolsを用いたシミュレーションの自動化を図り，シミュレーション結果の自動解析法を開発した．⑤さらに，複数の経脈の経穴への刺激によるパーキンソンとリウマチの鍼灸治療のシミュレーションを行い，五臓六腑・12正経モデルの有用性を確認した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は，複雑に絡み合う人体全体の経絡をシステムとして捉え，①東洋医学に基づいた人体の全経絡のペトリネットモデルを構築し，②モデルの解析やシミュレーションによって人体経絡の働きや仕組みを明らかにすることを目的としており，さらに，③治療効果をもたらす新たな経穴の刺鍼パターンの発見を目指している．
現時点で既に，足の少陰腎経のみならず，12正経の全ての経脈について，各経穴と臓腑との影響関係を明らかにし，五臓六腑との結合モデルの構築を完成している．また，シミュレーションの自動化を図り，シミュレーション結果の自動解析法も開発した．よって，当初の研究計画より大幅に進んでおり，現在までの進捗状況は「当初の計画以上に進展している」．
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究成果を踏まえ，今後は次のような方策で進めていく．
まずは，経穴をもつ全ての経絡を含んだ経絡全体モデルおよび五臓六腑との結合モデルを構築する．経絡は20 の経脈（12 正経と8奇経）と15 の絡脈からなっているが，経穴をもつ経絡は12正経と奇経の任脈と督脈である．12正経に任脈と督脈を加えた経絡全体モデルを構築するには，12正経に流れる気血が満ち溢れた時に奇経に流れるという特性に着目し，12正経と任脈・督脈との関係を明らかにする．その上で，経絡全体モデルおよび五臓六腑との結合モデルを構築する．
次に，既存の治療法である経穴への刺激パターンを用いて構築したモデルのシミュレーションを行い，モデルの正当性を確認する．また，モデルにおける各種のパラメータの正確性を図る．これまでは，それぞれのパラメータを理論的に検討し推定して設定しているが，今後は鍼灸治療現場を調査し，調査結果に基づきつつ，より正確なパラメータを定めていく．最終的に，実用的な人体経絡と五臓六腑のモデルを完成する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）
予定していた国際会議における研究調査を実施しなかったために，次年度使用額が生じることになった．
（計画）
平成29年度において生じた次年度使用額は，平成30年度に鍼灸治療現場における調査旅費で執行する予定である．
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