研究課題/領域番号 |
16K00406
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
工藤 光洋 日本医科大学, 医学部, 講師 (20256978)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IGF2BP3 / IMP3 / 大腸癌 / 遺伝子ネットワーク / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
(1) IGF2BP3発現の免疫組織学的検討:ヒト大腸癌病理組織標本において癌部および周囲正常組織でのIGF2BP3タンパク質の発現と局在を検討した。大腸癌組織において癌部でIGF2BP3が細胞質内に強い陽性像を示す症例が多数認められた。一方、正常部では殆どIGF2BP3陽性所見は認められなかった。現在、更に詳しく組織学的検討を行うと共に、臨床病理学的因子とIGF2BP3発現との関連性についても検討を進めている。 (2) IGF2BP3発現の大腸癌細胞株への影響についての検討:ヒト大腸癌細胞株 SW480, SW620において、IGF2BP3に対するsiRNAを用いてIGF2BP3 mRNAの発現をノックダウンし、各細胞株の細胞動態に対する影響について解析を進めている。IGF2BP3ノックダウンにより、各細胞の細胞増殖能が低下する事を確認している。さらに細胞運動や浸潤能への影響についても解析を進めている。 (3) IGF2BP3ノックダウンによる遺伝子発現変化の検討(遺伝子ネットワーク解析):IGF2BP3のsiRNA処置後、0, 2, 4, 8, 24時間後にtotal RNAを抽出し、次世代シークエンサーにて遺伝子発現変化を解析した。IGF2BP3のsiRNA処置後、経時的にIGF2BP3 mRNA 発現量が低下したことを確認した。現在、この経時的なIGF2BP3発現量低下に伴う遺伝子発現変化を次世代シークエンサー解析結果から分析を進めている。この分析結果よりIGF2BP3が関与する遺伝子候補を同定し、さらに遺伝子ネットワークに与える影響についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 免疫組織学的に大腸癌組織におけるIGF2BP3発現と局在について検討し、正常部に比べ癌部でIGF2BP3発現が高いことが確認された。さらに臨床病理学的因子との関連についても検討を進めている。 (2) IGF2BP3をノックダウンすることで大腸癌細胞の増殖能が低下する事が確認された。さらに大腸癌の運動能や浸潤能への影響について解析を進めている。 (3) 大腸癌細胞株をIGF2BP3のsiRNAを処置後、時間経過と共にIGF2BP3 mRNAの発現量が低下する事を確認した。さらにIGF2BP3 mRNA量の低下に伴う遺伝子発現変化を次世代シークエンサーにて解析し、データ分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 大腸癌組織におけるIGF2BP3の免疫組織化学的解析より、臨床病理学的因子との関連について解析する。 (2) 大腸癌細胞株を用いてIGF2BP3の細胞運動、細胞浸潤に対する影響を解析する。 (3) 大腸癌細胞株を用いてIGF2BP3 mRNA発現の低下に伴い遺伝子発現量が変化した遺伝子群の解析と、IGF2BP3 mRNA発現低下に伴う遺伝子ネットワーク変化についても解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサーによる解析が、年度内までに完全に終了していなかったため、次世代シークエンサー解析の支払いを済ませていない。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の次世代シークエンサー解析の費用として使用する。
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