本課題は、計算機内のシミュレーションプロセスと、計算機外に置かれている機器の上で稼働している制御プロセスとをリアルタイムに相互通信することのできる汎用的なシミュレーション・フレームワークを構築することを目標としている。 外部プロセスとしては、他のシミュレーション、ロボット制御系、実験機器制御系などのプロセスを考慮している。シミュレーション プロセスとしては、これまでにフィジオームやシステムバイオロジー分野で開発された生理機能の精密モデルはもとより、微分方程式、差分方程式で記述されるダイナミカルシステムの数理モデルのシミュレーションを想定している。 当プラットフォームにより、生理機能等のシミュレーション結果を用いて予測的にデバイスを制御する、あるいは、実験系やロボットのセンサーなどの値に応じてシミュレーション中のパラメータの値を変化させダイナミクスを変調させることができる。 これまで、モデル記述言語PHMLの仕様拡張により、モデル内に外部プロセスとの接点を記述することを実現した。また、我々がこれまでに開発してきたシミュレータFlintを拡張開発し、以下の機能をソフトウエアとして実装した。1.PHMLの拡張記述を解釈する。2. 外部プロセスと通信を開始するとともに、データ通信時の待機等プロセスを管理する。3.プロセス間通信により、シミュレーション 中の該当データを外部プロセスへ送信する。4.3と同時に、外部プロセスからデータを受信し、その値をシミュレーション中の計算 内容に反映させ、ダイナミックに計算結果を変更する。 今年度は、Flint のリアルタイム相互作用の時間ラグをできうる限り解消するため、計算効率を向上させた。これと関連して、計画予定を超えた開発項目として、シミュレーションプロセスの並列化を検討し、プロトタイプ・ソフトウエアを開発した。
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