研究課題
リアルタイムな同期に基づくWeb協調作業において、ユーザにとって認知負荷の低い同期アルゴリズムに必要な要素技術を明らかにするために、視線情報およびウィンドウの画像を用いてデスクトップ上におけるピクセル毎の重要度をモデル化した。視線情報に関しては今年度に新たに導入した視線情報取得装置を用いた。ここでは新たに、重畳表示されたオブジェクトの表現方法として、前面のオブジェクトを透過表示することの効果を検証するためのアプリケーションを試作した。結果として、アプリケーションの種類によっては、作業効率を改善する可能性が見いだされた反面、視認性の低下するアプリケーションも確認された。表示内容の意味を理解するための要素技術として深層学習に基づく短文処理技術を開発し、同期アルゴリズムへの適用可能性について検討した。さらに、同期対象のオブジェクトがバースト的に更新された場合の性能向上を実現した。従来手法では、追加されたコンテンツがリアルタイムに複数人に同期される場合、複数のオブジェクトが同時に更新される場合の、同期の遅延の開発のため、具体的には、複数の同期対象のオブジェクトの変化を、逐次的に処理するのでは無く、バッチ的に処理するアルゴリズムを開発した。しかし、従来手法が想定していない規模の大量のオブジェクトのバースト的な更新に対する同期処理において性能低下することが明らかになった新たな手法では、このようなバースト的なオブジェクトの更新を一括処理するために、レイヤの構成を最適化するためのアルゴリズムを開発した。また、リアルタイム協調編集に関連して、反転学習における新たな教材配信に関する研究に着手した。ここでは動画教材配信時におけるコンテンツの視聴のしやすさに着目した、画像および音声処理技術を開発した。関連する成果を、論文誌1編、国際会議5編で発表し、高い評価を得た。
2: おおむね順調に進展している
Web上での同期アルゴリズムの改良が進み、またオブジェクトの自動的な移動における認知負荷に関する理解が深まり、今後の研究へのステップとなった。関連学会での発表においても、良い反応が得られている。以上により、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断する。
リアルタイム協調作業用Webアプリケーションの実装に関連して、試作済みのWebアプリケーションへの組み込み、および様々な実環境での運用により本提案手法の有効性を評価する。端末としては、PC、スマートフォン、およびタブレット端末を想定し、通信環境としては、Wi-Fiおよびセルラネットワークを想定した評価を実施する。試作したシステムを公開し、仕様の妥当性および効果の検証を行う。
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CSII2018
巻: vol. 1, no. 1 ページ: to appear
International Journal of Smart Computing and Artificial Intelligence
巻: vol. 1, no. 2 ページ: 59-75
Proceedings of the International Conference on Web Intelligence 2017
巻: vol. 1, no. 1 ページ: 1207-1213
ESKM2017
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SCAI2017