研究課題/領域番号 |
16K00427
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
森 真幸 京都工芸繊維大学, 情報科学センター, 助教 (90528267)
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研究分担者 |
武田 昌一 東京都市大学, 工学部, 教授 (10245293)
森本 一彦 高野山大学, 文学部, 准教授(移行) (20536578)
藤吉 圭二 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (70309532)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルアーカイブ / 感性 / 脳血流 / 観光アプリ / ウェアラブルデバイス / 文化財 / データベース / Webシステム |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトで開発を進めている観光アプリである高野山naviについて、収録する見所情報の整理と追加を行うためのシステム構築を行った。研究メンバーが主体となって活動しているデジタル「絵図」研究会で収集、作成した見所情報をデータベースで管理するとともにWebシステムによる追加や修正を実現するため、コースマネージメントシステムであるDrupal 8を採用し稼働させた。また、Webシステムやデータベースの知識に左右されることなく誰でも簡単に見所情報を追加できる環境にDrupal 8をカスタマイズした。更には、見所情報だけでなく、高野山大学が保有する資料や文化財の収集に適した環境の構築を進めることで、Webシステムを構築する理系教員と文化財を専門とする文系教員との共同作業によるデータベース作成環境が整いつつある。 一方、高野山naviのコンテンツを利用者に提示する際の指標となる感性について取得と分析を行った。脳情報抽出手段として用いる可搬型の光トポグラフィ計測装置を用いて観光地の雰囲気を感じた被験者の脳血流情報を実験により収集した。実験は2種類行った。ひとつは観光地を散策する映像を室内で被験者に見せて計測する方法である。京都市街、高野山、丹生都比売神社という異なった雰囲気を持つ観光地を撮影し実験に使用した。もうひとつは被験者に実際に高野山と難波に足を運んでもらい、現地で光トポグラフィ計測装置を装着した状態で計測を行うというものである。これらの実験で取得した情報を分析し感性の変化について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高野山naviへの見所情報について、平成28年度は整理のためのWebシステムの構築に専念した。そのため、見所情報や観光情報、散策ルートといった観光アプリとしてのコンテンツの追加は現在進行中である。見所情報についてはテキストベースで情報を保持しているため、Webシステムを通してデータベース化を順次進める予定である。また、今後はデータの追加が容易に可能となるため、コンテンツの拡充は加速していくと考えらえれる。 光トポグラフィ計測装置による計測実験について、今年度の方法による実験は初めての試みであったため、研究メンバーを被験者として実験を行った。平成29年度は1人の被験者で行った計測の問題点を洗い出し計測方法を改善して解析手法を確立する。その後、研究メンバー外から被験者を募り、多数のデータを得ることで放血流と感性の関連性を計測し、観光アプリへの適用を行いたい。 また、平成29年度の計画であるBGM自動付与技術についての研究を進めた。画像からの自動付与技術に基づき適したBGMの選定を行うため、画像とBGMの組み合わせに関する調査実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
まず、平成29年度の進捗状況を整理し、デジタル「絵図」研究会で今年度の方針と研究計画を立てる。特に、高野山naviはベースとなるiPadアプリが完成しているが、昨今のデバイス事情を考慮しWebアプリに対応することで、多数のデバイスに対応することかどうかを早急に確定する必要がある。その場合は、高野山naviの開発スケジュールを見直す必要がある。ただし、BGM 自動付与については平成28年度に先立って実験を行ったため、ある程度の時間の余裕があると考えらえれる。光トポグラフィ計測装置を使用した脳血流情報の取得実験については、研究メンバー以外の多数の被験者に協力いただく予定であるため、平成28年度の実験手順をマニュアル化し滞りなく遂行できるよう準備を進める。特に感性を測るための実験であるため、被験者にストレスを与えることを避けることが重要である。 また、平成29年度はデータ収集、解析、実装、実験を同時進行するため、研究メンバーのチーム間で常に情報交換し、適宜可能な事項から進めていくことができるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度はシステム構築と実験方法の確立に注力し実験は小規模となったため、謝金の使用が予定よりもやや少なくなったのが原因であると考えらえれる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では28年度で小規模となった実験を拡大し、差が出ないよう謝金利用を進める。
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備考 |
現在研究プロジェクトの母体となる「デジタル「絵図」研究会」のWebサイトを作成中。
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