研究課題/領域番号 |
16K00433
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 正史 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (00759425)
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研究分担者 |
清原 良三 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (70646637)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ITS / 交通流 / 交通ボトルネック / 公共交通 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、金沢市の周辺都市として野々市市を取り上げ、野々市市と金沢市の通勤・通学の交通量削減に向け研究を実施する。中核都市とその周辺の住宅街という環境条件を元に、パークアンドライドのための交通流シミュレーション環境の整備、現状の交通状況の再現を行い、道路ネットワークと渋滞の関係を明らかにし、モデル化とその妥当性を確認する。 2016年度は交通流のマルチエージェント型のミクロシミュレーション環境の整備、実測定データの調査、道路交通センサスデータを元とした車両移動データの推定を実施した。しかし、道路交通センサスデータの調査は5年に1日であり、交通量の推定を行うためには不十分である。 そこで、2017年度は携帯電話の保有数を元に計測されたデータと道路交通センサスデータを元に、任意の日時の交通量を推定する方式を研究した。±20%の誤差を許容すると仮定した場合、63%の領域で適用可能な回帰式を導出することができた。本研究結果は2018年5月に発表予定である。また、交通センサスデータから移動データへの変換については、ネットワーク構造を扱えるように変換アルゴリズムを改良し、小規模ながらも指定領域での変換を行い、ミクロ交通流シミュレータにて動作することが可能となった。シミュレーションにおける誤差については、交通センサスデータの旅行速度データを変化させることにより縮小することが出来る目処は立ったが、その最適値については導出できていない。 また、金沢市と野々市市の大型店舗の駐車場をパークアンドライドシステムの駐車場として活用した場合に、どの程度の交通量の削減が可能かのシミュレーションを行った結果、2~7%の効果が期待できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は多数の地点の交通量である道路交通センサスのデータと携帯電話の利用者の位置情報に基づくメッシュ領域での人数情報を組合せ、任意の日付での交通量を推定する方式の研究を行った。提案手法は金沢市とその住宅地である野々市市を対象とし、道路交通センサスデータと空間統計データの相関に基づいて回帰式を導出した。回帰式を対象領域全体で評価した結果,±20%の誤差を許容すると仮定した場合に、約63%のメッシュにおいて適用可能である回帰式を導出することができた。 本研究を進めるにあたり,種別の異なるオープンデータを組み合わせることが容易ではないことがわかったとともに、データの粒度が重要であることについてもわかった。中核都市においては,繁華街と住宅街,その他の領域でそれぞれ交通量に特徴があり、それらを個別に推定することも可能ではあるが、データの粒度が粗い場合には、細分化は必ずしも良い結果を生じないこともわかった。 また、金沢市と野々市市の大型店舗の駐車場をパークアンドライドシステムの駐車場として活用した場合に、どの程度の交通量の削減が可能かをマルチエージェント型のミクロシミュレーションを行った。その結果、現状の大型店舗駐車場のみを用いた場合には、2~7%の交通量削減効果が期待できることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、渋滞要因のモデル化として、渋滞と道路ネットワークとの関係のモデル化、渋滞の再現が可能であるかを分析・検証し、モデルのミクロ交通流シミュレータでの精度向上をとして90%以上の合致を実現するとともに、他の場所における渋滞においても提案モデルが適用可能であることを検証するとともに、必要ならば改良を行う。河川や山麓による道路ネットワークの集中の影響についても検討を進める。 また、パークアンドライド施策を実施する場合に、効果的な駐車場配置場所を求めるアルゴリズム開発、利用者の利便性とバスでの到達時間のトレードオフなどについて検証していく予定である。最終的には、パークアンドライド施策が、中核都市における交通量削減にどの程度寄与するかについて評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
スケジュールの都合で国際会議への参加ができなかった。 今年度は、投稿・参加を準備中。また、当初計画よりもデータ処理に計算機能力が必要であることが判明し、PCを追加購入する予定。
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