2019年度は,研究1として,居宅アルツハイマー病(AD)者を対象に,インサイト社の記憶支援ツール「あらた」に,スムーズ機能と,介護者にメール通知する機能を加えた「あらた」認知症者Ver.を用いて,服薬管理が可能かを検討した.また研究2として,AD者と非認知症高齢者を対象に,「あらた」認知症者Ver.とSkypeのTV電話機能を用いた場合に服薬管理が可能か否かについて,Mini-Mental State Examination(MMSE)によるカットオフ値を検討した. 研究1の結果:研究1は,居宅ADの3名とし,「あらた」未使用5日間(a),使用期間を5日間(b)、その後、未使用5日間(a')を設定し,服薬管理実験を実施した.結果,A氏(80代男性,MMSEは19点)は,期間aは服薬時間に介護者が声掛けをした(以下,声掛け)で服薬が40.0%見られたが,「あらた」使用で自立100.0%となり,終了後も学習効果を認めた.B氏(70代男性,MMSEは16点)の場合,期間aは声掛けで服薬が100.0%であり,期間bでも自立10.0%,声掛けで服薬が90.0%と変化に乏しく学習効果も認めなかった.C氏(80代女性,MMSEは7点)の場合,期間aは声掛けで服薬が57.0%,全介助が33.0%で,あらた使用後は自立57.0%,声掛けで服薬が14.3%,介助が28.7%と変化が認められたが,学習効果は認められなかった. 研究2の結果:「あらた」認知症者Ver.とMMSEをアルツハイマー者19名と非認知症高齢者34名合計43名に実施し,服薬が出来たか否かでカットオフ値を検討した.結果,MMSE17点をカットオフ値とすると,感度94.0%,特異度87.5%となり,Skypeの場合は,MMSE21点で,感度88.0%,特異度87.5% となり,いずれもカットオフ値として妥当であると考えられた.
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