| 研究課題/領域番号 |
16K00442
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| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
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研究代表者 |
田村 俊作 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (70129534)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 情報図書館学 / 情報サービス / レファレンスサービス |
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| 研究実績の概要 |
本研究では，フィールドワーク，訪問調査，関係者へのインタビューを通じて，レファレンスサービスの下で図書館員が実際に行っていること，および重要と認識していることを分析・解明し，インターネット環境下で保持・発展させるべきサービスの構成要素と，その展開方策を検討することを目的としている。
本年度は，(1)関東地方のある公共図書館でのフィールドワークを継続すると共に，(2)米国図書館協会年次大会に昨年度に引き続き参加し，ポスター発表により日本の状況を伝えると共に，関係セッションに参加して米国におけるレファレンスサービスの動向を探った。また，(3)公共図書館の訪問調査を継続した。特に，新館を開館した図書館(高知，守山)を訪問し，新しい図書館サービスの様子を尋ねた。
その結果，(1)については，調査対象図書館との間に信頼関係を築くことができ，レファレンス回答作成補助や，館内の非公式の学習会に出席を認められるなど，レファレンスサービスに関連した図書館の活動に参与し，深い理解を得る環境を整えることができた。利用者との応接に立ち会うことができない，という限界はあるものの，継続処理する質問については，処理のポイントについて有益な知見を得ることができた。また，質問回答処理を超えて，レファレンス担当者の業務を理解することができるようになった。(2)については，米国の図書館員との対話を通じて，わが国のサービスの特色を理解しはじめてきている。(3)については，(1)と(2)の成果も交えて，米国と異なり，図書を中心とする資料提供に軸足を置きつつ，細かく多彩な工夫と館外への展開の中にレファレンスサービスを位置づけようとする，最近の図書館の傾向が見えてきたところである。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体は順調に進展しているが，(1)調査対象図書館でのフィールドワーク，および，(2)米国図書館協会年次大会参加を通じた米国の状況の把握，において，当初予想したよりも進展があったため，研究の範囲が当初の計画より拡がった。
まず，(1)については，調査対象図書館の信頼を得ることができたため，レファレンス回答作成や特定テーマの本のリスト作成等の補助など，レファレンス担当者の業務に深く入り込んだ参加ができるようになった。また，時間外に非公式に行われている各種学習会への参加も認められた。これにより，レファレンス担当者の業務を，レファレンス質問の処理を超えて理解することができるようになった。
(2)については，2年続けて米国図書館協会年次大会に参加し，米国の図書館員との対話を重ねたことにより，日米の図書館サービスの違いを徐々にではあるが理解するようになっている。
(3)国内公共図書館の訪問調査については，新しいサービスを行っている館を中心に実施したが，国内動向の把握としてはなお不十分である。
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| 今後の研究の推進方策 |
(1)調査対象図書館でのフィールドワークを継続し，当該館でのレファレンスサービスを多面的に理解する。また，年度後半には，当該館のレファレンス担当者に対し結果を報告し，フィードバックを得る予定である。さらに，その結果をもとに，日本図書館情報学会の研究集会で発表する予定である。
(2)2019年度米国図書館協会年次大会において，"Japan Libraries: Transforming Libraries with Innovative Ideas"という，日本の革新的なサービスを提示するセッションが設けられ，その中で研究代表者は “How Innovation has transformed Japanese public libraries”という発表を予定している。これにより，レファレンスサービスを中心とした新しいサービスの動向について，米国図書館員との建設的な対話が行われることを期待している。
(3)国内の公共図書館に対する訪問調査をこれまで以上に行い，国内動向の把握に努める。
以上に加え，文献の収集と検討によりレファレンスサービスに関するわが国の動向を整理し，今後に向けたその方向性について考察したい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間を通じ調査対象図書館との間に信頼関係を築くことができ，レファレンス回答作成補助や，非公式の会合に出席を認められるなど，レファレンスサービスに関連した図書館の活動に参与し，深い理解を得る環境が整った。一方，フィールドワークに重点を置いたため，国内公共図書館の訪問調査による動向の把握は不十分であった。また，関連文献の収集と検討もまだ終えていない。
当初計画の予定を超えて新たな知見が得られているところなので，次年度も調査を継続することで，研究をより発展させる。また，国内図書館訪問調査および文献調査を行うと共に，米国図書館の動向調査の結果も加味し，成果をまとめ学会で発表したい。調査対象図書館は調査継続について承諾している。
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