本研究では,フィールドワーク・訪問調査・関係者へのインタビューを通じて,レファレンスサービスの下で図書館員が実際に行っていること,および重要と認識していることを分析・解明し,インターネット環境下で保持・発展させるべきサービスの構成要素と,その展開方策を検討することを目的としている。 本年度は(1)関東地方のある公共図書館でのフィールドワークを継続すると共に,(2)2019年6月に開催された米国図書館協会年次大会で,日本の公共図書館におけるサービスの展開についてセッションを持ち,日本の公共図書館におけるサービスの革新について成果の報告と意見交換を行った。さらに,(3)図書館員研究集会での発表など,成果の報告を行った。 (1)については,調査対象図書館との信頼関係の下,フィールドワークを続けると共に,レファレンス回答作成,連携企画や出張展示への協力など,レファレンス担当係の業務に係わる中で,より深く業務を理解することができた。また,時間外に非公式に行われている職員の各種学習会に参加した。その成果の一部は学習会の参加者と共に雑誌『みんなの図書館』2020年6月号に掲載予定である。 (2)については,120名収容予定のセッション会場に170名の参加者を迎え,大好評であった。日本のサービスの現状を伝え,有意義な意見交換を行うことができた。 (3)これまでのレファレンスサービスに関する文献レビューを行い,また,サービス構造についての理論を整理すると共に,今後の展望についていくつかの発表を行った。
|