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2016 年度 実施状況報告書

体験型3Dデジタルアーカイブのためのフレームワーク

研究課題

研究課題/領域番号 16K00449
研究機関京都産業大学

研究代表者

林原 尚浩  京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (20397227)

研究分担者 青木 淳  京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (60513380)
研究期間 (年度) 2016-10-21 – 2020-03-31
キーワード3Dモデル / デジタルアーカイブ / 分散システム / 協調編集
研究実績の概要

3Dデジタルアーカイブのためのフレームワーク実現に向けて,3Dモデルのアノテーション付与方式およびPub/Subモデルを基にした3Dモデルの共有システムを提案した.従来の3Dモデルのアノテーション方式は3Dモデルとアノテーションが分離して表示されていたが,提案手法では,3Dモデルの操作(回転,ズームなど)に追従して,現在の視点に適切なアノテーションを選択して表示することができる.また,複数のユーザ間で3Dモデルを共有するための方式を提案・実装し,多数のユーザで共有したとしても,低オーバヘッドで操作を加えられた3Dモデルの共有を実現することができることを確認した.この提案手法は3Dデジタルアーカイブはもとより3Dモデルを用いた遠隔教育やTeleconferenceに用いることができる点で有用性が高い.これらの提案手法は査読付き国際会議ACHI2017にて発表されている.
また,共有された3Dモデルを協調編集ための非衝突型データ構造ChainVoxelの提案と,このデータ構造を用いた操作(insert, delete)を定義した.シミュレーションの結果によると,既に提案されている3Dモデルの共有システムに比べて大幅なレイテンシの削減を実現することができた.特筆すべき点は,多数のユーザが同時に3Dモデルの編集を行ったとしても,最終的には一貫性のある状態に収束することにある.この協調編集方式は,共有された3Dデジタルアーカイブに対して複数のユーザによる編集を実現することができる,ChainVoxelに関する論文は査読付き国際会議IEEE DASC 2016において発表されている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3Dデジタルアーカイブをより効率的に共有するためのアノテーション方式と複数のユーザ間で視点の共有するための視点同期方式を提案し,評価を行っている.提案したアノテーション方式は,3Dモデルなどを回転したりズームしたりしても3Dモデルに付与されたアノテーション(コメントや手書きの図など)をシームレスに表示することができる.従来の同一平面にフラットにアノテーションを表示する方法と比較すると,よりアノテーションの意図を強調することができるという利点もある.また,視点同期方式は複数のユーザ間で同一の3Dモデルを共有することを想定している.あるクライアントで何らかの操作(回転やズーム)を行った場合,同一の3Dモデルを共有している他のクライアントにもその操作が反映されるという機構である.この視点同期方式は,Pub/Subモデルをベースに構築されており,操作したクライアントはその操作を送信する宛先を管理せずに送信することができ,スケーラブルな実装を実現することができる.視点同期システムに関しては,多数のユーザが同時に接続してもシステムの負荷は非常に低いということが実験により明らかになった.
一方,3Dモデル自身を複数のユーザで共同編集を行うという方式について新たな手法ChainVoxelを提案した.この手法はCRDT(Conflict-free Replicated Data Types)のコンセプトに基づいて提案された非衝突型データ構造とその上に定義された可換可能な操作(insertとdelete)によって成り立っている.これによって,多数のユーザが同時に同一の3D空間に編集を行ったとしても,最終的には一貫性のある状態に収束する.この手法は,複数のユーザで都市の3Dモデルなどを共同編集する場合に非常に有効である.
以上の提案手法について,予定通り研究が進捗し,いずれも査読付き国際会議において研究発表が行われている.

今後の研究の推進方策

今後は,視点・アノテーション共有システムのプロトタイプの実装を行っていく.特に,システムの出力先としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含めたあらゆるディスプレイデバイスと協調して動作するように実装する.また,入力デバイスとして力覚フィードバックデバイスなどを用い,より現実感のあるシステムの実現を目指す.一方で,視点同期に関するメッセージをより効率的に配送する方式について,アルゴリズム・実装両面での新たな手法を開発する予定である.
3Dモデルの協調編集機構については,現時点ではinsertとdeleteのみの単純なシステムであるので,voxelのグルーピングなどのより高位の操作を実現する.この機構については,前述のプロトタイプに統合する形で実装を行っていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

今年度においては,700,000円の物品費を計上していたが,進捗状況に記載のとおり,順調に計画が進展していることから,
購入を見合わせることとした.

次年度使用額の使用計画

次年度に研究の進捗に合わせて物品等の購入を行う予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Merging Topic Groups of a Publish/Subscribe System in Causal Order2017

    • 著者名/発表者名
      Yuta Yamamoto, Naohiro Hayashibara
    • 学会等名
      The 13th International Symposium on Frontiers of Information Systems and Network Applications (FINA-2017)
    • 発表場所
      Taipei, Taiwan
    • 年月日
      2017-03-27 – 2017-03-29
    • 国際学会
  • [学会発表] Message Dissemination Using Levy Flight on Unit Disk Graphs2017

    • 著者名/発表者名
      Kenya Shinki, Naohiro Hayashibara
    • 学会等名
      The 31st IEEE International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA-2017)
    • 発表場所
      Taipei, Taiwan
    • 年月日
      2017-03-27 – 2017-03-27
    • 国際学会
  • [学会発表] Annotation and View Synchronization of Shared 3D Models2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Shimada, Naohiro Hayashibara
    • 学会等名
      The 10th International Conference on Advances in Computer-Human Interactions (ACHI 2017)
    • 発表場所
      Nice, France
    • 年月日
      2017-03-19 – 2017-03-23
    • 国際学会
  • [備考] 研究業績一覧

    • URL

      http://rudds.kyoto-su.ac.jp/publications/pman3.cgi?MENU=detail;MODE=list

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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