本研究で提案・開発してきた3Dモデルの要素技術をサービス・コンポーネントとして組み合わせたサービス指向フレームワークとして実装し,3Dモデルを用いた医療安全講習のためのプロトタイプを実装した.具体的には,3Dモデルのアノテーション付与機構,視点同期機構,協調編集機構を組み合わせたもので,医療系学部で行われている医療安全講習を3Dモデルを用いてより現実感の高い学習が可能となるコンテンツを提供することを目的としている. このプロトタイプは岩手県立大学看護学部高橋教授らの助言をもとに,大学における医療安全講習の演習および講義を想定している.特定のシナリオにもとづいた3Dモデルを用意し,そのモデルを学生が操作して演習を行う.また,3Dモデルは学生の端末で共有されているため,ある学生が3Dモデルを操作して演習問題に取り組んでいても,他の学生がリアルタイム共有することができるため学習効果は高い.さらに,ヘッドマウントディスプレイへの出力や入力装置としてジョイスティックなどの外部デバイスを用いることもできることから,より現実感の高い体験が可能になると考えている. これらは3Dモデルのアノテーション付与機構,Pub/Sub型視点同期機構によって実現されており,低遅延で3Dモデルの操作結果の反映を行うことができる. さらに,ChainVoxelによる協調編集機構を用いて複数のユーザによって新たな3Dモデルの作成や既存の3Dモデルに変更を加え新たなシナリオを作成したり,特定の3Dモデルを用いた医療安全に関するより柔軟な講習が可能となる.
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