研究実績の概要 |
平成28年度は2015、 16年の読売及び毎日新聞記事データを購入し、データ分析を始めた。また、2016年の日経プレスリリース本文データを日経テレコン21より購入している。2016年の結果はまだ出ていないが、今年度は2005年から2015年の間に大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文の傾向について、投稿された学術雑誌名や分野、さらにはジャーナル・インパクトファクター(JIF)等の雑誌指標との関係等について分析を行った[1][2]。 この結果、「大学」に関係するプレスリリース14,582件の本文から、3,062件の学術雑誌タイトル、754件の国内学会名を含むプレスリリース記事を抽出した。学術雑誌、国内学会を年別に見ると、国内学会の数はさほど大きな変化は見られないが学術雑誌に関しては、2005年から2015年に17.6倍の増加がみられた。これは、大学等の機関が、著名な学術誌への掲載を積極的に、組織的にプレスリリースするようになったとみることができる。また、有力オープンアクセス誌への移行が目立ってきている。 分野別の傾向では、生物系分野が高かったが、2013年を境に、雑誌数は少ないが、総合系雑誌が逆転している。これは、Nat.Comm., Sci. Rep.等の近年の伸びも影響している。この傾向は有力総合誌や生物系雑誌への掲載がプレスリリースに繋がっていることを示している。また、物数系, 医学系, 化学系分野が中位にあるが、伸びは生物系, 総合系には及んでいない。 雑誌指標との関係では、必ずしも高いJIF、SNIPの雑誌が高頻度で現れている訳ではないが、Eigenfactorとh5-indexに関しては良い相関を示していた。この結果からは、日本の大学がプレスリリースを行う基準としてEFやh5の高い雑誌が選ばれていることがわってきた。
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