研究課題/領域番号 |
16K00456
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
和氣 愛仁 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70361293)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (50261813)
永井 正勝 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (70578369)
高橋 洋成 筑波大学, 人文社会系, 研究員 (90647702)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人文情報学 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、まず研究イベントとして、筑波大学人文社会国際比較研究機構 (ICR)との共催で、デジタル・ヒューマニティーズに関する講演会およびワークショップを開催した。本研究における研究分担者3名のほか、外部講演者としてDonald Sturgeon氏(ハーバード大学)および永崎研宣氏(人文情報学研究所主席研究員)を招き、意見交換を行った。特にSturgeon氏の前近代における中国語の文字資料に関するデジタル資料研究、とりわけOCRを用いた文字認識研究は、本研究にとっても極めて有効な研究上の示唆を与えた。 システム開発の面では、外部システムとの連携に関して、IIIF(International Image Interoperability Framework)を利用したデータの公開技術に関して、基礎調査および試験的な設計を行った。また、今後の中長期的な展開を見据え、根本的な部分から設計方針を再検討した。近年の情報技術に関しては、とりわけ画像処理に関する技術の進歩がめざましく、AI(人工知能)を用いた画像処理・画像認識技術も一定程度実用的な範囲の成果が達成されている。一方で、ウェブに関するいわゆる「標準」としての技術も十分に枯れてきたものがある。こうした両面の技術を本研究に取り入れていくためには、これまでに作成してきた本研究におけるアノテーション付与型画像データベースプラットフォームシステムは不十分なところがあり、より拡張性・汎用性のあるものとしていくために、根本的なところから設計を見直す必要があることが明確になってきた。今後はこうした問題に対応しつつ、これまで実装してきた機能のより一層の充実を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外部システムとの連携に関しては、IIIFを用いたデータ公開の方法を検討した。本システムが自由な多角形領域に対してアノテーションを付与可能なのに対し、IIIFはアノテーション付与可能な領域が矩形領域に限定されるため、本システムのネイティブデータをIIIF用のデータに変換する際に、どのようなレベルのデータにアノテーションを付与するかについての粒度の変換が必要になる。本システムのネイティブデータでは、最も細かい粒度としては文字の構成要素についてのデータを持っているが、現時点では、IIIF対応データとしては単語レベルのデータを提供することでこの問題に対応した。また、当初基本機能設計まで行う予定であった文字の字形自動認識機能については、昨今のAI技術の急速な進歩に伴い、調査すべき研究・情報技術が極めて広範にわたるようになってきたため、本年度についてはまず情報収集を主として行った。
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今後の研究の推進方策 |
まずは外部システムとの連携機能の実装に注力したい。これに関しては、例えばIIIF等を利用した外部へのデータ公開の側面と、google等を使用した外部からのデータ検索の両方の側面があり、いずれも重要な課題と考えている。字形の自動認識機能に関しては、すでに先行して、木簡文字への文字認識技術の応用等の成果が発表されているので、こうした成果をふまえつつ、必要に応じて研究上の連携を行うなど、より積極的に外部研究者(とりわけ人文系の研究に理解のある工学系研究者)との交流を目指していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の旅費が若干安くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の旅費として使用する。
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