研究課題/領域番号 |
16K00465
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
小舘 亮之 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (00318859)
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研究分担者 |
田中 康裕 専修大学, 人間科学部, 兼任講師 (20454093)
BOLT Timothy 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40757564)
若原 俊彦 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (80318857)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オープンデータ / 観光情報 / 意味検索 / Linked Open Data |
研究実績の概要 |
平成28年度は,当初掲げた3つのテーマを実施した.以下,各テーマの研究実績について整理する. まず,テーマ1「リンクAPIを利用した情報の構造化による地域コミュニティ支援システムとアプリ開発」については,地域の観光資源に関する情報流通を促進するために,福岡県新宮町において収集された観光情報を対象として,情報処理振興機構の共通語彙基盤をベースとした観光語彙基盤のプロパティに沿って新宮町LOD(Linked Open Data)を作成した.そして,ポータルサイトのプロトタイプを構築し,提案手法による意味検索機能の高度化が実現できたことを確認した. テーマ2「開発アプリの複数地域における試用とその受容に関する統計的な分析」については,行政主導,地域連携によるオープンデータの利活用環境が整っていない地域における市民主導によるオープンデータ環境整備推進の試行として,具体的に山梨県の観光情報の収集と発信を目的としたスマートフォン用のプロトタイプアプリを試作し,製作コストの検証と試用を行った.その結果,試作アプリの受容には,効果的な活用環境整備が必須であることを確認した. テーマ3「経済学的分析によるアプリの継続的運用環境の評価」については,事例調査として,平成28年10月に,オープンデータ・バロメータによるランキングが首位の英国のうち,スコットランドにおけるオープンデータ整備状況の調査を実施した.その結果,スコットランドでは,ユーザ参画を基本として,行政主導,地域連携でオープンデータを活用したアプリの開発が行われており,アプリの利用を促進することで,データを継続的に最新に保つことや,アプリ自体を頻繁なアップデートができるだけ必要ないような設計にすることの必要性が認識され,持続的なオープンデータの利活用環境の構築が目指されていることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[研究実績の概要]において記したように,当初掲げた3つのテーマのうち,テーマ1とテーマ3については,初年度の平成28年度は概ね計画通りの作業を実施することができた. 一方で,テーマ2の「開発アプリの複数地域における試用とその受容に関する統計的な分析」については,平成28年度において開発したものが利用地域として範囲を限定するものにとどまっており,受容に関する統計的な分析の対象となるレベルには達していない.この点において当初の計画よりやや遅れたものとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる今年度は,継続して当初掲げた3つのテーマを実施する計画である.以下,各テーマにおける研究実績について整理する. まず,テーマ1「リンクAPIを利用した情報の構造化による地域コミュニティ支援システムとアプリ開発」については,福岡県新宮町を対象として初年度に構築したシステムを国内の他の箇所における利用の可能性とその評価結果に基づく改良を実施する計画としている. テーマ2「開発アプリの複数地域における試用とその受容に関する統計的な分析」については,[現在までの進捗状況]に記した通り,当初計画よりやや遅れた状況となっている.そこで,順調に進捗が見られたテーマ1の成果を活用する形として計画変更を行い,テーマ1の成果を他の地域の観光情報に対して適用することを検討する.そして,テーマ1の成果を適用した他地域向けのポータルサイトを設計して観光情報の収集と更新を行うシステムを構築し,これを受容分析の対象とする方針について具体的な検討を進める計画としている. テーマ3「経済学的分析によるアプリの継続的運用環境の評価」については,テーマ2による受容分析の対象システムの検討結果に基づいて,経済学的な分析の具体的な方法論についての検討を進める計画としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
[現在までの進捗状況]において記したように,当初掲げた3つのテーマのうち,テーマ1とテーマ3については,初年度は概ね計画通りの作業を実施することができた一方で,テーマ2の「開発アプリの複数地域における試用とその受容に関する統計的な分析」については,平成28年度において開発したものが,利用地域として範囲を限定するものにとどまっており、受容に関する統計的な分析の対象となるレベルには達していない.この点において,研究の進捗が当初の計画よりやや遅れたものとなっており,主として調査分析用の経費を繰り越した形となっている.その他は,旅費が当初の見積もりよりも低額で支出できたこと,システム開発用に購入した物品価格が当初の見積もりよりも安価であったことにより,次年度使用額が生じることとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
[今後の研究の推進方策]に記したように,当初計画よりやや遅れた状況となっているテーマ2「開発アプリの複数地域における試用とその受容に関する統計的な分析」については,当初計画の見直しを行った結果,順調に進捗が見られたテーマ1の成果を活用する形として計画変更を行い,テーマ1の成果を他の地域の観光情報に対して適用することを検討する.そして,テーマ1の成果を適用した他地域向けのポータルサイトを設計して観光情報の収集と更新を行うシステムを構築し,これを受容分析の対象とする方針について具体的な検討を進めながら使用する計画としている.
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