研究実績の概要 |
今年度は、延長分にあたり、成果発表のみを行った。 2019年9月には、イギリス・バース大学にて開催されたThe 14th International Conference on The Social Context of DEATH, DYING & DISPOSAL (DDD14) に参加し、"Victim's Social Media on Television : Examining the privacy of the deceased" というタイトルで発表を行った。これは、テレビの報道でSNSのアカウントが取り上げられることとプライバシーの関係についての分析である。また、同月には国内の情報処理学会EIP研究会にて、「ソーシャルメディアの日常利用とその死後の扱いについて」というタイトルで、日常のソーシャルメディアサービスの利用目的とデータを残すか削除するかの判断とどのように関連についての分析結果を発表した。 さらに、2018年に実施した若年層を対象とした意識調査の結果をとりまとめた論文「死後のデータを残すか消すか?:追悼とプライバシに関する一考察」は、査読結果への対応を経た結果、2020年1月に採録通知があり、2020年4月号の情報処理学会論文誌に掲載された。
これまでの法制度に関する調査および利用者に対する調査の結果、故人のプライバシーは人権の一部とするには限界があるものの、パブリシティ権の一部として取り扱ったり、あるいは遺族に継承されるデジタル資産として取り扱うという可能性が見えてきた。一方で、自身の死後デジタルデータの削除を望む場合は、遺族を含む誰かにその処理を委託せねばならず、サービスの利用状況によっては利用していること自体を明らかにしない場合もあるため、自身の死後のデータの扱いについての意思表示および権限委譲を明確にする必要性が見えた。
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