(1)画像テキストデータベースの構築 本年度は、同志社大学京田辺校地で開催されたオープンキャンパス(7月28日)において、深川大路氏とともに、「昔の文字を計算機で『読む』」と題するワークショップを行い、計算機を使って、江戸期の歌留多の文字を字形ごとに分類したり出現頻度を解析したりすることができるシステムを公開し、その使用感について検証を行った。また、計算機による知識発見についての模擬講義を、やはり同志社大学京田辺校地において地域ぐるみで行われるクローバー祭(11月3日)において行った。「『万葉集』「梅花の宴」の和歌を計算機で読み解く―令和時代の古典の密かな愉しみ―」は、『文化情報学』に模擬講義記録として掲載した。 (2)日本文化の歴史的研究 まず、歌留多に関しては、同志社大学文化情報学部が所蔵する『百人一首かるた』(歌意絵入り)四種について、影印と翻字、および古注釈を参看した絵柄の考察を、大学院生他との共著として『文化情報学』に2回にわたり発表した。次に、和歌の表現に関する研究としては、「香椎潟の情景―歌枕詠作史瞥見―」(『香椎潟』第60号)を、また、『古今和歌六帖』出典未詳歌注釈稿として、研究ノート2編を発表した。これで、『古今和歌六帖』第六帖の出典未詳歌の注釈を終えることになる。香道に関しては、『香道籬之菊』所載の15の組香(盤物)を実習する一方、矢野環氏、岩坪健氏とともに実践女子大学図書館を訪問し(9月10~12日)、香道伝書の閲覧・調査を行った。また、矢野環氏との共著として、竹幽文庫蔵『香道籬之菊』所載の和歌を主題とする組香について、資料紹介を4回にわたり発表した。同時に、矢野環氏、岩坪健氏との共著『竹幽文庫の香道伝書 香道調度図 香道籬之菊』(淡交社、2020年3月)を刊行した。
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