本研究は、eラーニングによるストーリー型教材の、“ストーリーならではの効果”を高める枠組みの構築を目指すものである。ストーリー型教材では、教材にリアリティある文脈を導入することによって疑似体験の場を作り出すことができる。このような場を通じて、学習者は実践的スキルの修得や学習成果の統合などをより効果的に行うことができる。 これまでの研究成果から、学習者が学習中の振り返りを通じて、特に、学習内容を学習者自身のリアルな環境において捉え直すことにより、ストーリー型学習の効果が高まることがわかっている。 最終年度である本年は、2つのことを行った。まず、これまでのストーリー型eラーニング型教材の実践から得られた成果を整理して発表した。開発したストーリー型eラーニング教材は、仮想の大学に入学し、その中で大学生活を疑似体験しながら大学で必要なスキルを身に付けていく教材である。これと、この教材開発の元となったふりかえり付きのストーリー中心型カリキュラムの特徴を整理して発表した。次に、この2年間で主に進めてきた振り返り方法についての研究を整理した。現在の研究環境ではフルeラーニングによる授業設定が難しいため、一部でeラーニングを使いながら、対面の授業において、振り返りの効果を探ってきた。各回の小さな振り返りや半期に2回行う大きな振り返りにおいて、学んだことを実生活にどのように結びつけるかという記述をさせるような工夫を行った。また、グラフを使って振り返りを簡単に視覚化させるツールの試行を行った。これらの試行から得られた成果を整理した。
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