本研究では、eラーニングシステムを使用して学習する学生の集中度や学習効果を上げるためのインタフェースや方法を検討し、実験によりその有効性を確かめた。具体的には、eラーニングシステムにおいて問題の正答・誤答により褒める・叱る画像の表示機能の実装、学習中の学生の集中度を促すために学生が集中しているかどうかをKinectにより検出し注意を与えるインターフェースの実装、授業中の学生の振る舞いを把握するために学習中の状態を検出して分類するシステムの開発、学習の合間の休憩時間における行動がその後の学習に及ぼす影響について数式計算と英単語の記憶の実験を実施した。 これらの実験の結果、(1)eラーニングシステムでの褒める・叱る画像として、アニメキャラクタ、俳優、動物、虫を取り上げた画像表示機能の実験においては、褒める場合も叱る場合も被験者の好む画像を用いること、また、画像の種類としては動物が効果があること、(2)学生の集中度を検出して学習を促すインタフェースに対しては、集中していない時に注意を与えることで学習効果があること、(3)学生の状態の把握実験では、「手を上げる」、「ノートをとる」、「教科書を読む」などは分類精度が高いが、「スマホを使う」は分類が困難な状況があること、(4)休憩時間においては、激しい動きを伴うゲームは適切でなく、音楽を聴く、何もしないなど静かに過ごすことが良いことがわかった。 最終年度においては、休憩における行動の効果を調べるためのコミュニケーションロボットを用いた実験を行い、英単語記憶のような記憶学習と数式計算をする作業的な学習では、適した休憩行動に違いがある可能性が示された。
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