1.教材作成:(1)教材データベース内のがん登録用模擬カルテと模擬サマリーの整備:模擬カルテ(診療記録+サマリー)は計21件作成した。内訳は、食道1、胃3、結腸1、直腸1、肝1、肝内胆管1、膵1、肺1、乳房4、子宮頚2、子宮内膜1、前立腺3、膀胱1件である。このうち、食道1、胃2、結腸1、肝1、肝内胆管1、膵1、乳房3、子宮頸2、子宮体1、前立腺3、膀胱1件については、化学療法や放射線療法等の治療情報を含む、初回入院前後の外来診療情報も登録した。院内がん登録では治療情報の種類と実施の有無、実施施設等が登録項目として用意されている。模擬カルテ内に経過記録としていつでも参照可能な状態にしておくことで、単にがん登録演習だけでなく、その症例に関係する治療法選択の経緯や初回治療後の経過も知ることができ、より実践に近い模擬カルテとなった。この他、がん登録項目を集約したサマリーのみは、計53件作成した。内訳は、食道4、胃6、結腸3、直腸7、肝3、肝外胆管1、胆嚢2、膵6、肺5、乳房2、子宮頚4、卵巣1、前立腺33、腎1、膀胱1、甲状腺2、副腎1、リンパ節(原発不明)1件である。 2.データベースの整備とがん登録システムの構築:院内がん登録標準登録様式2016年版と全国がん登録届出マニュアル2016(2017改訂版)を元に、FileMaker Proを利用してがん登録項目のデータベースを作成した。その後、院内がん登録項目と全国がん登録項目を登録するための演習用登録システムを構築した。がん登録が法制化されたことで、がん登録実務経験のない者や浅い者は、教材を用いて登録の演習をすることができる。一方、教材により精度の高いがん登録ができるようになった実務者にとっては、データの活用が次の課題である。この演習用がん登録システムに蓄積したデータを利用して、統計処理やその分析評価の演習ができる。
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