研究課題/領域番号 |
16K00496
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
勝瀬 郁代 近畿大学, 産業理工学部, 講師 (20373540)
|
研究分担者 |
平島 ユイ子 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (10637812)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 遠隔構音検査 / 深層学習 / 発音評価 |
研究実績の概要 |
(目標1)「発音誤りの厳密な判定と音声の個人性適応の実現」 前年度に引き続き、深層学習をベースとした発音評価方法について検討を行った。発音の誤りと構音の関係を明確にするために、音素弁別素性を基準に、正誤でなく数値評価を与える。戦略としては、ディープニューラルネットワーク(DNN)の活性化パターンに現れる音素の特徴を低次元多様体に布置し、その分布を利用する。この戦略により、単なる発音の正誤だけでなく、確率値で正しさを評価でき、かつ、調音様式や調音位置の誤りを指摘することができる。現時点で、調音様式に関連する弁別素性で82%、調音位置に関連する弁別素性で78%の識別率を得ている。 (目標3)学校と外部専門家との間でPeer-to-Peer通信による映像通信の実現(遠隔構音検査システムの開発) 計画よりも早く、平成28年度中にプロトタイプの開発を終えていたが、電算機センターの運用規程変更のため、サーバーの運用開始が大幅に遅れ、実地試験を開始するまでに時間を要した。その間、ディスレクシア(読み書き障碍)の遠隔簡易診断のための機能を追加した。加えて、深層学習による領域つき文字認識によるディスレクシアの自動診断処理を開発した。遠隔構音検査システム評価のための実地試験は、平成29年度3月から開始した。また、このシステムを「遠隔簡易認知機能検査システム」へと展開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(目標1)「発音誤りの厳密な判定と音声の個人性適応の実現」:研究計画では、平成29年度中にシステムへの導入までを予定していたが、(目標3)を先行させたため、1年の遅れが出ている。システムへの導入は平成31年度までずれ込む可能性が高い。 (目標3)学校と外部専門家との間でPeer-to-Peer通信による映像通信の実現(遠隔構音検査システムの開発):計画よりも前倒しで進行している。現在、新規に加わった共同研究者とともに、学校(通級指導教室)において実地評価実験を遂行している。さらに、計画に含まれていなかったディスレクシア診断機能の追加や、遠隔認知機能検査システムへの展開など、当初の計画以上に発展している。 (目標2)教師音提示インタラクティブシステムの開発:教示用模型に組み込むセンターやマイコンプログラミングの検討は終えていたが、平成29年度より新たに加わった、障碍児教育に精通した共同研究者より、リアルな模型は児童に受け入れられない可能性があることを示唆された。この目標設定の動機は、発音誤りと調音様式・調音位置との関係を児童に教えるためであった。目標1の研究で、発音誤りの判定の際、調音位置や調音様式との関連を教示できる可能性が高くなったため、目標2の研究は、目標1の研究に含めることができるため、発展的に解消することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
目標1については、基礎的研究をしっかり行い、十分な性能を実現してからシステムへ導入する。目標2は目標1に包含し、発展的に解消する。目標3については、平成29年度に引き続き、新規に加わった共同研究者とともに実地試験による性能評価を行いつつ、当初の計画にはなかった遠隔医療診断システムへの展開を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者:平成29年度より新たに研究分担者が追加され、計画になかった分担金が発生した。当初の申請額では分担金の全額を支出できなかったので、まずはその一部を支出した。その後、前倒し請求を行ったが、平成29年度中には追加支出できなかったので、残額は平成30年度に支出することになった。
研究分担者:平成30年度より、大学内での異動が予定されていたため、物品購入は、平成30年度へ持ち越した。
|