研究課題/領域番号 |
16K00497
|
研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
山下 泰生 関西国際大学, グローバル教育推進機構, 教授 (80230431)
|
研究分担者 |
陳 那森 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (50249512)
佐藤 広志 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (50253125)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 反転授業 / コンテンツ開発 / スマートデバイス |
研究実績の概要 |
平成29年度(2017年度2年目)の実績について、本研究プロジェクト計画の大きな流れに沿って次の2点について報告する。 (1)反転授業で利用するコンテンツ開発環境の整理、 1年目に収集した反転授業で使用するコンテンツ開発環境について一覧表として整理した。その中で、本研究プロジェクトでの「できるだけ簡易な環境でのコンテンツ開発環境」という基本的な方針から、ノートPCに収録用ソフトを導入し、場所を選ばない環境でのコンテンツ開発を実践してきた。 (2)反転授業の試行および文献等の調査結果からの類型化とその課題の整理 反転授業の実践結果から、大きく講義系授業と演習系授業の2つの分類で課題整理をした。また他大学等の事例報告から、実技・実験系の授業に関する情報収集も行った。反転授業の事前コンテンツ視聴において有効となるスマートデバイスの利用可能性に関しても調査研究を行い、IIAI International Congress on Advanced Applied Informatics 2017(9 - 13 July 2017)にて発表をした。実践結果からは、やはり、一般的に言われている反転授業の大きなポイントである対面授業の展開が最大の課題であることが明確となった。特に講義系授業に関して、対面授業時にレベル設定をしたワークや課題を実施する方式を提案し、日本教育情報学会第33回年会(2017.08.26-27)にて発表した。また、本プロジェクトで実施した反転授業に対する意識調査の結果を国際教育与信息交流研究会(2017.12:中国)で発表し、海外比較をするために会場大学の中国学生約100名の協力を得て、中国語に翻訳した同類の紙面調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
反転授業で使用するコンテンツ開発環境の整理はまとめることが出来た。(しかし、今後もICT技術は向上していくため、現状の環境整理がすぐに陳腐化していくことは十分に考えられる) 反転授業の実践として、講義系授業と実習系授業という類型での側面から進めてきた。そこで整理された課題として、対面授業の展開に対する提案は検討されたものの、その提案を実践につなげるまでにはいたっていない。また、同じ講義系の授業であっても、基礎教養の修得・発展的考察を目的とした科目と知識獲得・定着を目的とした科目では、その実践結果は異なる傾向にあったことが確認できた。実習系授業での実践からは、各授業で目標としている実習スキルがすでに身についている受講生にとっては事前のコンテンツ視聴の効果が低くなってくる、という問題も確認できた。そのためにコンテンツの視聴/未視聴だけで受講生を判断的することが困難な状況であることも発生している。 また、実習・実技系授業に関しては、文献や事例調査を中心に行った。受講者が事前に実習や実技の手順や方法をコンテンツにより把握してから授業に出席することは、効果があることはいえるものの、実習や実技の種類によっては、対面授業中に見ながら授業を進めることが効果的な場合もあることも確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの、実践結果および事例調査を踏まえ、最終的に標準指針を整理していく。また、最終成果だけでなく、これまでの成果も含め、Web上で広く公開をしていく予定である。 コンテンツ開発環境は、現状の整理で問題はないと考えているが、反転授業の類型化と課題をベースにした指針作成に関しては、その方法論や整理方法も含め検証を進める必要があると考えている。反転授業の方式がそぐわない授業があることも考えておく必要がある。なにより対面授業をファシリテートしていく教員の(反転授業対応の)授業運営スキルに関する検討の重要性が非常に高く、そのスキルがない状態で反転授業を展開すると逆効果となる場合もある。その点はアクティブラーニング分野の一つの要素となるが、反転授業という点からのスキルも求められる。(例えば、事前コンテンツを見てない授業生や事前コンテンツの内容が修得済の受講生の存在など)それらの点も今後明確にしていく
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外(中国)での発表や調査が平成29年度(2017年度)中にその実施が決定されたため、支出項目を調整をしたものの、格安の航空機の予約ができたため、その分の経費が節減された。
|