本研究プロジェクトはスタートした平成28年度(1年目)は、反転授業で利用するコンテンツ開発環境の検証と整理を中心に行われた。その後、実際に作成したコンテンツを利用した反転授業の試行から始めて、実際の授業での実践を重ね、その結果を学会等で発表してきた。「できるだけ簡易な環境での反転授業で利用するコンテンツ開発環」という基本的な方針から、ノートPCに収録用ソフトを導入し、場所を選ばない環境でのコンテンツ開発を実践してきた。その結果、コンテンツ開発に関しては、比較的容易に作成できる環境の提案ができたものの、やはり授業担当者によってはハードルが高い状況も確認できた。その上で反転授業を普及させるために、作成済の教材コンテンツの共有を検討した。しかし、平成31年1月に著作権法が改定され、非同期で利用するコンテンツに関する著作権上の問題を整理する必要が生じてきた。反転授業の実践については、PCリテラシーの演習系授業から、講義系授業、教職関連の授業等で進めてきた。その結果から反転授業の効果は確認できた面もあったが、コンテンツの属性のみでなく、授業の特性(分野、形態、クラスサイズ、等)も含めた適応検討が必要でることが明確となった。 また、不随事項ではあるが、新型コロナウィルスの影響下で急遽行うこととなった遠隔教育のコンテンツ作成に対して、本研究で整理されたコンテンツ開発の知見が有効に機能した面があった。「反転授業」とは直接的には関係はない面もあったが、我々が進めてきた研究の知見が別の点でも有効に働いたということは、当初は想定しなかった成果であったと考えている。そして、AIも含めICT環境の進展に伴い、今後も新しい環境における有効性について検証を進めていく計画である。
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