本研究課題では、物体の滑り・転がり・弾み・風の流れ等の物理現象や、形状・空間の拡大縮小等の数学的変形に関連した、独自の運動性・操作性をもつ実演装置・入出力装置の開発、運動の数理解析、実世界の物理的・空間的条件をパラメータ化した複合現実的体験を可能とするシステムの開発等を行った。最終年度は以下の成果を得た。 1. 楕円体状インタフェースの転がり・スピン時の物理的・空間的パラメータをリアルタイムで取得して利用する、実演を伴う視聴覚表現が可能なインタラクティブシステムを開発し、音楽表現とインタフェースに関する国際会議NIME2020に採択された(2020年7月発表予定)。 2. 前年度に実現した弾性面上の物体のバウンスバック運動を利用して、物体を繰り返し弾ませ、その衝突位置と沈む深さを利用して視聴覚表現を行うインタラクティブシステムを開発し、WISS2019、VR2020で発表した。 3. 身体や外界の拡大縮小感を体験するための複合現実システムに関して、拡縮デバイス内の空気の吸入・排出を映像と同期して行う機能をもつシステムを開発し、成果の一部をWISS2019で発表した。 4. 仮想世界で設定された風を体感するためのHMD装着型送風デバイスに関して、プレイヤーのインタフェースの操作に呼応して、適切なタイミング・方向の風を提示するインタラクティブシステムとデモコンテンツを開発し、VR2020で発表した。 5. エンタテインメントコンピューティング、インタラクション、パフォーミングアーツ等の研究者で構成される情報処理学会SIG-ECワーキンググループ「時系列表現WG」の第2回ミーティングにおいて、本課題の転がり・弾み運動に関する成果を含む実演装置・システム群の発表と実演を行った。
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