本研究課題では、ロシア・アルタイ山脈にあるベルーハ氷河にて、2003 年夏に採取したアイスコアを用いて、それに含まれる古代花粉 1 粒ずつを、全ゲノム増幅法を用いて、花粉種の同定を試みた。本研究では、約470年前のトウヒト属とモミ属、約4870年前のモミ属の化石花粉についてDNAの解読に成功した。さらにトウヒ属については種レベルの同定を試みた。トウヒ属は世界に約35種の存在が知られている。本研究では、候補を5種まで絞ることができた。その1つに、現在も氷河周辺に分布するシベリアトウヒが含まれていた。このことから、約470年前においても、氷河周辺にはシベリアトウヒが分布していたと考えられた。
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